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今日はトークショーとサイン会。小さなアトリエでの、本当に小さな会。普段どんな方が私の作品を目にしてくれているのか、とっても楽しみな時間で
「あの!!本当に大ファンで…!私美大に通ってるんです!」
「…本当?嬉しい。ありがとう。映像科?」
「はい。まだ1年なんで、専門的なことは全然出来ないんですけど…」
なんて会話しながら作品集にサインして
中には良いスーツをお召になったご老人や、品のある素敵なマダム。高校生までいらして。
最後の一人は
「作品、買い取りたいんですが幾らで__」
「このフィルムですか?えっとちょっと待ってください、私の画商が…」
短編フィルムを気に入ってくださった画廊の主人が専属の画商と話し出す
価格のやり取りをしてるのを、他人事のようにぼうっと眺めつつ、サイン会を閉じようとした時だった
「…!」
入り口に帽子を目深に被った、すらりとした青年の姿が目に入って。
それが誰かなんて顔を見ずとも直ぐにわかった
「V…くん、…っ!」
しーっと指を立てて近づきながら、「ごめんね、サイン会来ようと思ってもうお終いの時間になっちゃったの…まだ間に合う?」って
「だ、大丈夫だけど…っ。わざわざこんなとこまで来てくれなくても…!」
「違う〜ヌナ全然わかってない。僕はヌナのファンなの。ここに来てた人といーっしょ。だからね、僕もここに足を運ぶの。ね?」
いひ、と笑って
「とびっきりのサインくーださいっ♡」
えへへと微笑む彼に思わず肩の力が抜けて
「貴方はとっても可愛らしい男の子ね、」
「んー。可愛い?」
「うん。」
「…可愛い、か。やっぱり『綺麗』なのはジンヒョン?」
「へ…」
掴みどころのない彼に戸惑っていると商談を終えた画商が戻ってきて耳打ちをする
____先程の方、お買い上げです。画廊に常時展示してくださるそうですよ
「…ありがとう。」
優しく微笑むと彼もゆったり微笑んでそっとその場を立ち去った
「ヌナ、作品売れたの?凄いね!」
「…そんなことないよ、」
「僕も欲しい〜買ってもいい?」
「え、…冗談でしょう?」
「ううん。……あ、これ。これ欲しい。僕これ好きなの」
作品集に載っている写真を指さす彼。
「Vくんなら譲るよ、それ」
「えっ、」
作品を愛してくれる人の元にいくのなら、お金は要らない
「じゃあヌナ。僕もヌナに色々持ってきたの」
「?」
「これ。絶対見てね」
そう言って手渡されたのは1枚のCDと封筒だった
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました! (2021年10月5日 17時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月29日 12時