scene.63 ページ14
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ふわふわする頭で隣のジョングクくんに話しかける
「何、言って…」
「ジョングクくんは、まだ若くって、とっても素敵な男性だから。きっともっと素敵な、世界一愛せると思える女性がこれから現れるよ。」
そう言うと重ねられた手がぴくりと動いた
「そんなの、ヌナに言われたくない…」
「ごめん、勘違いしないで…貴方を遠ざけようとか、そういうわけじゃないの。ちゃんと私を想ってくれてるのは、伝わってるよ__」
「っじゃあどうして…!?」
「……なんでだろうね、…あなたの手をとったら、あなたの良いところを、全て私が駄目にしそうな気がしちゃうの、」
そう言うと訳が分からないというように目を瞬かせた
「僕は、相乗効果的に良くなると思ってるけど。」
「…私、ジョングクくんが思ってるほど、愛らしくも、優しくも、素敵な人間じゃないよ…」
「違うっ!! …ああ!なんで…っ」
ねぇ、ヌナ。今僕がここでヌナを襲おうと思えば全然襲えるんだよ?
きゅるりとした瞳が揺れて、そっと近づいてくる
「___しないよ。」
「!」
「あなたは、できないよ…。そんなこと。できない…」
そうして頬にキスを落とす。それは何よりも優しく、愛情深いものを。
「…僕、やだ。それでも、諦めたくないよ。本気でヌナを想ってるのに」
「…ありがとう。」
何も返してあげられない不甲斐ない私を許して…
「泣かないでよ、どうしてヌナが泣くの…泣きたいのは僕の方だよ…っ(笑)」
「__っ、」
「優しすぎるよ。Aヌナは、そんなに優しすぎると、損ばっかりしちゃうよ、」
「…それでもいいの…私___!」
ちゅ、と
触れるだけのキスが落とされて
「ねぇ。Aヌナ、本当はこんなこと聞きたくないんだけど、聞くね。」
「…っ?」
「ヌナは、誰かを一番大切に想ったことがある?世界で1番、愛する人に出会ったことがある?愛おしくて、苦しんだ経験がある…?」
彼は泣いていた
その言葉に、ゆっくり頷くと
「____ねぇ、それってさ、僕も知ってる人?」
その言葉には何も反応せずに、じっと彼の美しい顔を見つめていたら、自宅に到着してしまって
ジョングクくんは「…もうわかったから、何も言わなくていいよ」と優しく笑ってわたしを送り出した
「それでも…。それでも僕は、貴女を愛する気持ちに変わりはありません___」
バタン、
タクシーが見えなくなるまで私はそこでぼろぼろと年甲斐もなく泣いていた
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました! (2021年10月5日 17時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月29日 12時