scene.61 ページ12
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ひらりと部屋に落ちた紙切れをふいに手に取る。それはユンギくんが書き記した歌詞の一部のようだった。
所々斜線が引かれて書き直されていたり。
彼の頭の中を覗いたような、そんな気分になる
ゆっくり裏を返すと、そっちにもびっしり言葉が羅列されている
1文字ずつ、
目で追うと
「……っ、」
つぅ、と頬に涙が伝って、紙を持つ手が震えた
言葉は美しい。
同じ体験を、感情をどんな風に、どんな言葉で表現するのか…だからその人を体現する、と私は思っていて
Sugaくんの言葉は、流麗なまるで朝の煌めきような柔らかいものでは決してなかったけれど、
その強くも儚く、心の奥底に突き刺さり響き渡るような言葉は___
「ふ…っ、う、…」
なぜだか、私の胸に強烈に突き刺さり
そしてやはりこの人は凄い人なのだと思った
口元を抑えて静かに涙を流していたら、後ろからふわりと抱きしめられて
「…そんなになられると、さすがの俺も動揺する、」
「ユンギ、く、…っ」
「ありがとな。……俺は、それで救われた気がするよ…(笑)」
親指で私の涙を拭って
「この言葉が、Aさんにこんなに響くってことは、やっぱ俺たちさ___」
「!」
くいっと手首を掴まれて
そのままぼすん、とベッドに2人で落ち込む
「____2人で、堕ちようぜ。」
「…ユンギくん、…」
「怖くねぇな。前は独りで闘ってる気がしてたけど。こうしてAさんの体温感じて。俺、生きてるわ。」
ゆっくり手を繋いで2人、ベッドの上で天井を見上げて目を瞑る。
「わかるよ。わかるから、今Aさんがどんだけ自分と闘ってんのか、苦しんでんのか、…メディアに曝け出されたことでさ。…それ全部。理解、してあげてぇと思う。」
「…もう、充分、ユンギくんには支えられてるよ」
以前の私なら自暴自棄になってカメラを手放していたかも
「___俺は言葉を綴る。」
「じゃあ、私は、カメラを止めちゃだめだね、」
ふふ、と笑い合う
「どうしようもなくなったら、こうして2人で堕ちればいいんだ。2人なら怖くないだろ…?」
その言葉に静かに頷くと、彼は安心したように微笑んで、そのまま目を瞑った
そうして2人。
朝日が登るまで、手を繋いだまま眠りについた
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました! (2021年10月5日 17時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月29日 12時