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停電 ページ41

コテージの部屋は薪を燃やす暖炉があり、まるで貸別荘みたいに部屋が広かった。

「暖炉とかすげー」
トモくんは無邪気にはしゃいでいる。

「なんか大変なことになっちゃった・・?」
その割には表情が深刻じゃないねトモくん。

「なんかどんどん積もってる・・・」
私は立ち上がって窓から外を見た。

その時・・・ふっと部屋の明かりが消えた。


さっきまでついていた外灯の明かりも隣の棟の明かりも消えている

「停電・・・かな?」


少しすればまた電気がつくかもしれないと思っていたけど20分たっても電気は復旧しなかった。

「俺・・ちょっとフロントに言って聞いてくる」

「気をつけて・・・」


トモくんの背中を見送りながら私はさっきの事を考えていた・・・


あの雪の夜・・・
奏ちゃんの店から歩いて帰ったんだっけ・・・

歩いて帰った事を・・・なんとなく思い出した・・

そしてトモくんと「息子だ」とか「息子じゃない」とか言い争った・・

そして・・・
そして・・・

ん???

ちょ・・・ちょっと待って・・・

あれ?

えっと・・・

へ?

そんな・・・


私は・・・思い出した・・・



「息子ならこんなことはしない・・・」
そう言った彼の言葉が頭の中をこだました・・・


だから・・・?
だから「もう一回」だったの?

急に心臓の鼓動が早くなるのを感じた。


どうしよう・・・



「Aさん」
その時、雪まみれのトモくんが戻ってきた。

「ちょ〜寒かった〜」
トモくんは急いで暖炉の前へ行き炎に手をかざした

「この辺一帯が停電してるらしくて・・・復旧の目処が立たないって・・部屋の暖房が効かないので薪を絶やさないようにしてください・・って・・・あと・・コレ・・」
トモくんは大きなブランケットを抱えていた。


「静かね・・・」

「雪がふってるからなのかな・・・」

私とトモくんは暖炉の前に座ってパチパチと燃える薪を見ていた。


「俺ね・・あっくんでR66を旅したときモニュメントバレーに行ったんだけど」

「モニュメントバレーってすごいよね・・・」

「Aさんは行った事ある?」

「ううん・・・無いわ・・」

「そこでね一泊したんだ・・・寝袋にくるまって」

「なんかステキ・・」

「音が一切しなくて・・・」

「音が?」

「うん・・自分の呼吸の音と・・心臓の音が聞こえるだけ・・」
そう言うと
彼はさっきフロントから借りてきたブランケットを私の肩にかけてくれた。

擦り傷→←散らばった記憶



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作者名:Luna | 作成日時:2014年2月23日 11時

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