フレンチトースト ページ26
人の気配で目がさめた・・・。
手元にあったiphoneで時間を確認すると
まだ8時前・・・
昨日よりは少しいいかな・・
そう思っていると
ふすまが開いてトモくんが顔を出した。
「おはようAさん」
「ともくん・・・おはよう・・どうしたの?」
するとトレーを手にしたトモくんが
私の枕元にやって来た。
「朝ご飯・・・?」
トモくんは少し照れたように笑った。
「ゆうべ奏が作ってくれたんだ。Aさんにって。
あっためなおしたよ」
フレンチトーストと
いちごのムースだった。
「ありがとう・・」
「起き上がれる?」
「ん・・・」
「俺が食べさせてあげようか?」
「まさか・・・トモくんったら・・・」
わたしの返事を聞かずに
・・・トモくんはだいたいにおいて
私の返事を聞かないけど(笑)
フレンチトーストを一口大に切って
フォークにさした。
そして私の口元に持ってきた。
私はかなり恥ずかしかったけど
小さく口を開けた。
「おいしい?」
とにかくなんだか恥ずかしくて
私はただうんと頷いた。
「はい、もう一口」
「トモくん・・・もう大丈夫」
「遠慮しないで・・はい」
仕方なくもう一度小さく口を開けた。
「トモくん」
「はい?」
「そんなに見ないで」
「だって美味しそうに食べてるから」
「恥ずかしい・・・」
なぜかトモくんは満足そうに笑を浮かべていた。
「お母さんにごはんを食べさせる息子みたいね・・・」
苦し紛れにそう言った・・・
「Aさん」
少し頬をふくらませて彼が言う。
「俺Aさんの事お母さんだなんて思ってないからさ」
「そっか・・・じゃあご近所のおばさんに格下げかな」
我ながら可愛げのかけらもない・・
「Aさん。俺そんなふうに思ってないよ。マジで」
「・・・・・」
「確かに前は・・・ある程度年上の女性には興味なかったし」
正直者・・・心の中で呟いた。
「でも・・・Aさんとかルリ子さんとに接してるうちに・・・考えが変わったんだ」
私はなんて応えていいのかわからず
ただ黙ってトモくんの話をきいていた。
「この前・・Aさんのことをお母さんって言ったのは
心の広さとか包容力とか優しさとか
そんな感じを表したかったから・・だよ・・・」
「そっか・・・ありがとう」
トモくんの言葉が心の琴線にふれて涙が出そうになった。
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作者名:Luna | 作成日時:2014年2月23日 11時