知恵熱? ページ21
「A・・・A・・」
目を開けるとルリ子が私の顔をのぞき込んでいた。
「ルリ子・・・?」
「もう・・・Aったら・・・」
ルリ子がちょっとだけ涙目になっている。
「熱が高くて・・・ずっと意識なかったよ・・・」
「・・・・・」
「雪の中、歩いて帰ったりしたから・・・」
「歩いて帰った・・・?」
「トモくんと歩いて帰ったんでしょ?・・・覚えてないの?」
「ん・・・奏ちゃんの店で・・盛り上がってた・・あたりまでしか記憶がないかも・・・」
「そっか・・めずらしくA結構飲んでたもんね」
「・・・・・・」
記憶が飛ぶまで飲むなんて・・・
自分で自分に呆れてしまった。
「Aったらワカコさんのところで朝ご飯作ってる時に倒れちゃったんだよ・・・」
ああ・・そうなんだ・・
トモくんに朝ごはんを作る約束をしてたから・・・
「もしかしてここ・・ワカコさんち?」
「そうよ〜。トモくんどうしていいかわかんなくてめちゃくちゃ
あたふたしたみたい。とりあえず私にリリーさん経由で連絡くれたのよ」
「トモくんが・・・」
「もう少しで肺炎になるとこだったんだから・・・」
私が寝ていたのはワカコさんちの和室だった。
「なんだかまだダルい・・・」
「だって40度とか出てたよ・・熱」
そう言ってルリ子は私に体温計を渡した。
「そうだ・・ねぇAダンナは?」
「雪で主張先から戻れないってあの日連絡あったけど・・」
「そっか・・・最近どうなの?あんたたち」
まだ熱が残ってる私にそれ聞いちゃう?
「どうって?」
「だってうなじにキスマークなんか付けちゃってさ」
「不意打ちくらったわ・・・」
私は力なく笑った。
「そっか・・」
「抵抗虚しく・・みたいな」
「なにそれ〜」
「だってそうとしか言い様がないもん」
ピピピッと電子音がして体温が測定された。
「37.8・・まだちょっと熱あるね・・」
「だから熱でたのかな?」
「知恵熱的な?」
「そう」
「そんなにショックな事だった・・的な?」
「的な」
わざと面白おかしく言うルリ子の愛情を感じた。
ルリ子は結局夕方遅くまで私についててくれた。
夫は結局出張先からそのままシンガポールへ戻る事になったようだ。
少しホッしている自分がいた。
「あ、トモくんから伝言よ。仕事終わったら顔出すからここで休んでて下さいって」
ルリ子に言われてもう一晩
私はワカコさんちに泊まることになった。
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作者名:Luna | 作成日時:2014年2月23日 11時