１ヶ月経って・・ ページ1
おばあちゃま・・・いえワカコさんのお世話をさせていただくようになってから
約１ヶ月が過ぎようとしていた。
私は毎日が楽しくて仕方なかった。
ワカコさんは週に２回だけプラチナサークルという
素敵なご老人が集う会に参加している。
その二日間以外は
ほとんどいつもワカコさんと一緒だった。
その日は
ワカコさんが先日受けた検査の結果が出る日だった。
私は彼の代わりに検査結果を聞き
夜、奏ちゃんの店で彼に会ってその話をすることになっていた。
少し早い時間に奏ちゃんの店に行って
いつものように奏ちゃんと二人でスイーツを食べて過ごした。
今日のスイーツは奏ちゃんが買ってきてくれた大福。
「これ美味しい！！」
「でしょう。Aちゃんが喜ぶと思ったんだ〜」
「このオリーブオイルがいいわね」
「ねぇ〜上品な感じになるわ」
奏ちゃんと私はまるで昔からの友達みたいに意気投合して
仲良しの女友達同士って感じ。
私はカウンターの隅に一冊の本が置いてあることに気がついた。
「奏ちゃんこんな本読むの？」
「ああこれ？これはトモの忘れ物」
「トモくんの？」
ワカコさんと過ごすうちに私はいつのまにか
Earthの事を「トモくん」と呼ぶようになっていた。
私はその本を手に取りペラペラとページをめくってみた。
未来の事について書かれているその本はとても面白くて・・
少し読んだだけなのに私は引き込まれるように夢中になってしまった。
「Aちゃん」
「あ、ごめんなさい。勝手に」
「それは大丈夫。それより・・・あたしちょっとおつかい行ってきていい？」
「うん。いいわよ」
「まだ誰も来ないと思うけど・・まぁ来てもAちゃんが知ってる人ばっかりだと思うけど」
「大丈夫。注文受けてカクテル作って出しとくわ」
「助かっちゃう。じゃあAちゃんお願いしますっ」
奏ちゃんが出かけて私はまた夢中で本を読んでいた。
どれくらい経った頃だったか・・
「こんばんは〜」
元気な声と共にトモくんが現れた。
「あれ？Aさんだけ？」
「あ、うん。ええ、そう」
私は読みかけの本を閉じてスツールから立ち上がった。
「奏ちゃんちょっと出てるの。トモくんビール？」
私の「トモくん」呼びにも慣れた様子の彼は「うん。」
と言って自分でおしぼりを出して手をふいた。
彼の前にグラスを置き、瓶からビールを注いだ。
「お疲れ様です」
私が言うと
「お疲れ様です」
トモくんが答えた。
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作者名：Luna | 作成日時：2014年2月23日 11時
