25-2.好きなもの ページ47
「ただいま」
「かずくんおかえんなさーい」
「うん」
「非番なのに出勤、ご苦労様でした」
数日後、用事があって午前だけ出勤し、家に帰って来た俺を彼女が出迎えてくれた。
「ああ。何してた?」
「お昼ごはん作ってた。かずくんも食べる?」
「おう」
「りょーかーい」
俺の返事を聞き、意気揚々と前を歩く彼女を、
「…Aっ」
緊張しながら呼び止めた。
「ん?」
「…これ」
「何?急に」
「…あ、開けてみろ」
茶色い大きめの袋を差し出し、そう言うと、
「うん。…えっ!うわっ!ポ、ポリまるくんっ?!ぬいぐるみだ!かわいー!」
中身を見た瞬間、明るかった彼女の顔がさらに明るくなった気がした。
あの日、
≪いやいや!そんなはずないっしょ!ねぇ?≫
あいつが話しかけていたのはぬいぐるみで、ポリまるくんというキャラクターだった。
「前、言ってただろ。署の前通った時」
「うん!え?!覚えててくれたのー?」
おかげで彼女がそのポスターを見て、かわいいと言っていたのを思い出した。
「…ああ。少し早めだが、誕生日のお祝いだ。その日は当番で祝えないからな」
「えー…嬉しい…」
感動した様子でこちらを見る彼女が愛おしくて、
「…お誕生日おめでとうA」
そう言いながら手を握った。
「ありがとう、かずくんっ」
「…そんなに嬉しいか?」
「うん!嬉しい!」
「…ただのぬいぐるみだぞ」
「ただの、じゃないの!かずくんがくれたぬいぐるみなの!」
「…そ、そうか。あ、ぬいぐるみ以外にも色々あるぞ」
「ほんとだー!ペンもあるー!わ、カレンダーも!かわいいー!」
俺たちは手を握ったまま、廊下に座って子供みたいにプレゼントの中身を見ていた。
しかし、
「でもこれ、全部買ったの?」
彼女の一言で数日前の羞恥心が呼び起こされた気がした。
―数日前、芝浦署・広報部
「おう、志摩ー!我らがエリート同期よー!」
「…エリートではないが」
「機捜のお前が広報部に来るなんて珍しいな。何か用か?」
「…まぁ、そんなとこだ」
「で、どうした?」
「…その、ポ…」
「…ポ?」
「ポリまるくんのグッズ、ないか?売ってくれ」
「何でお前が?」
「…ポリまるくんを欲しがってる人がいるんだ。その人に喜んでもらいたくて」
「…分かった。色々察したぞ俺は!」
「た、助かる」
「おーい!ポリまるくんグッズー、あるだけ持ってきてー!」
「ちょっ、こ、声が大きい!」
1107人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「志摩一未」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
結城(プロフ) - 伊吹さんの方からやってきましたがやっぱりため息でますー(//∇//)たまたま早起きして読んでいたのですがにやにやとため息でバッチリ目が覚めました!ありがとうございます^ ^ (2020年9月4日 5時) (レス) id: 3f7c57052f (このIDを非表示/違反報告)
MAYU(プロフ) - ありがとうございます。楽しみにしてます(*^^) (2020年8月28日 1時) (レス) id: 68cb4525c6 (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - MAYUさん» MAYUさん!初コメント&リクエストありがとうございます!今書いていますのでもう少々お待ちいただけると嬉しいです! (2020年8月27日 23時) (レス) id: fd0b490cca (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 志摩さんリクエスト。恋人夢主。志摩がお世話になってるからと紅茶のシフォンケーキを焼いて4機捜に差し入れしに行く話し。上司である桔梗にはゆたか君達と食べる用に別に用意。夢主のケーキに癒される志摩さんの話しお願いします。 (2020年8月25日 14時) (レス) id: 9070337cc8 (このIDを非表示/違反報告)
こな(プロフ) - リクエストです!ナイトプールで事件発生。404が現着。ヒロインに遭遇。水着ガン見。伊吹にぶちギレ志磨さん。伊吹に言わせたいのが、ヒロインちゃん、おっきいのね。ってな感じです。笑 (2020年8月24日 12時) (レス) id: 3a7ce308f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リトルバード | 作成日時:2020年8月5日 0時