非番はずっと恋模様

　24-2．お外デートは ページ44

「今キャンペーン中でして、くじ引きされますか？」

4日前の密行中コンビニで買い物をしたところ、対象商品を買ったらしく店員に箱を差し出された。

「あ、大丈夫です」

俺は興味がなく断ったのだが、


「え？！志摩！やんないなら俺やっていい？！」


後ろに並んでいた伊吹が顔を出した。


「好きにしろ」

「やったー！俺こういうの大好きなんだよねー！ワクワクするじゃん？」

「…小学生か」

許可すると、万歳しながら俺の隣にやって来た伊吹。

「それでは、どうぞ」

「では伊吹、参りますっ！5等…5等のキーホルダー…」

「何でもいいから早くしろ」

店員に促され箱に手を突っ込んだ伊吹は、5等のガイコツのキーホルダーが欲しかったようで念を唱えていた。


しかし、


「えーいっ！…2等…？2等って何？」


まさかの2等を引き当てた。


しかも、


「おめでとうございます。プラネタリウムのペアチケットです」


めちゃくちゃ当たりじゃねぇか！


「えー！やったぁ！ハムちゃんといこー！」

「はぁっ？！」

譲ってしまった数分前の自分と、横で喜ぶ伊吹に怒りが爆発する。


いや、待てよ。


「お、おい、伊吹」

「ん？」

喜んでいるところ申し訳ないが、


「それは俺のくじ引きだったよな？」


正論を言わせていただこう。


「いやいやいや志摩ちゃんそれはないっしょー」

「ないのはお前だ。元をたどれば俺がこのおにぎりとパンとドリンクを買ったからついてきたくじ引きであって、お前にそもそもの権利はなかったはずだ」

「でもくじ引いたの俺！プラネタリウム引き当てたのも俺！」

論破しようにも中々譲らない伊吹。


こうなったら、


「すみません、この5等のキーホルダーは売り物ですか」


悔しいが禁じ手だ。


「え、ええ。あちらに」

「伊吹、これとそれを交換しろ。元々のお前の狙いはあのガイコツくんだろう」

俺は店員が指さした場所にあるキーホルダーを伊吹に見せた。

「えー、でもー」

「なんだ」

何か渋っている伊吹に言うよう促すと、


「全種類コンプリートしたいな？♡」


あの笑顔、あの嫌な笑顔でおねだりしてきやがった。


しかし、


「…構わない、全部持ってこい」


それくらいの犠牲は喜んで払う。


「うっしゃー！ガイコツくんっ、ガイコツくんっ♪」

「合計で5760円になります」

「一括で」

ルンルン気分の伊吹が持ってきたキーホルダーを袋に入れる店員に、俺はカードを堂々と差し出した。

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