19-3. できるの? ページ33
「どけ」
九重から聞いた現場近くの署へ行き、部屋の前にいる警備担当の警察官の腕を横へ押す。
「お待ちくださいっ!関係者の方ですか?」
「4機捜の志摩だ」
「いや、でも、4機捜の方なら今…」
「いいから通せバカ!」
くっそ、これだから融通が効かない警察官は嫌なんだ。
すると、
「…え、志摩さん?」
九重が部屋から出てきた。
「Aはっ?!Aは大丈夫なのかっ?!」
「…大丈夫って?」
「だってお前入電って!」
ぽかんとしている九重の肩を掴み、息を切らしたまま尋ねると、
「…かず、くん?」
部屋の奥に座って、同じくぽかんとしている彼女の顔が見えた。
「おい志摩、何言ってんだお前」
「…え、じ、陣馬さん?」
九重の後ろから出てきたのは陣馬さんだった。
「九重、お前入電内容伝えたか?」
「伝えようとしたら怒鳴られたんで、現場の場所をお伝えしました」
「…まさか」
陣馬さんの質問に九重は呆れ顔で答えていて、俺はあることに気付きかけていた。
「彼女は目撃者だ。空き巣の」
やっぱり。完璧に勘違いだ。
「外を歩いてたらガラスの割れる音がしたらしい。近づいてみたら男が入るのを見たんだと。それを入電したんだ」
「…なっ」
「おい志摩。お前、本当に大好きなんだな、彼女のこと。お熱いぜ!まったく!」
「…やっぱりツンデレなんですね」
「…あ?」
陣馬さんはいい。でも九重のは聞き捨てならない。
「いや、すみません。聞き取り終わりましたので、私はこれで」
「お二人でお熱く、な?」
そう言って、二人は部屋から出て行った。
「…え、か、かずくん、あの…」
「お前なぁ…」
「…ごめんなさ」
椅子に座る彼女にじりじりと詰め寄り、
「…どれだけ人を心配させれば気が済むんだバカ」
そのまま抱き寄せた。
「…へっ?」
「ここに来る途中、ずっと後悔してた。もっと話を、お前の気持ちを受けとめてやれれば、お前が危険な目に遭わなくて済んだのにって…」
「…かずくん」
「…悪かった」
「…私も、ごめん。わがままだった」
彼女の手が背中に回ると、ようやく安心できた。
「ねぇ、かずくん?」
「ん?」
「私犯人捕まえたんだよ?すごい?」
「あぁ。すごいよ」
抱きしめていた体を離し、頭を撫でてやる。
「まぁ、警察官の彼女だからね」
「調子に乗るな」
おでこをぺしっと叩くと彼女は笑っていて、これが仲直りか、なんて思った。
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結城(プロフ) - 伊吹さんの方からやってきましたがやっぱりため息でますー(//∇//)たまたま早起きして読んでいたのですがにやにやとため息でバッチリ目が覚めました!ありがとうございます^ ^ (2020年9月4日 5時) (レス) id: 3f7c57052f (このIDを非表示/違反報告)
MAYU(プロフ) - ありがとうございます。楽しみにしてます(*^^) (2020年8月28日 1時) (レス) id: 68cb4525c6 (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - MAYUさん» MAYUさん!初コメント&リクエストありがとうございます!今書いていますのでもう少々お待ちいただけると嬉しいです! (2020年8月27日 23時) (レス) id: fd0b490cca (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 志摩さんリクエスト。恋人夢主。志摩がお世話になってるからと紅茶のシフォンケーキを焼いて4機捜に差し入れしに行く話し。上司である桔梗にはゆたか君達と食べる用に別に用意。夢主のケーキに癒される志摩さんの話しお願いします。 (2020年8月25日 14時) (レス) id: 9070337cc8 (このIDを非表示/違反報告)
こな(プロフ) - リクエストです!ナイトプールで事件発生。404が現着。ヒロインに遭遇。水着ガン見。伊吹にぶちギレ志磨さん。伊吹に言わせたいのが、ヒロインちゃん、おっきいのね。ってな感じです。笑 (2020年8月24日 12時) (レス) id: 3a7ce308f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リトルバード | 作成日時:2020年8月5日 0時