非番はずっと恋模様

18-1．許せるかな ページ29

≪麗子はお前を許すだろう。でも俺は許さない≫


先に眠りに落ちた彼女の寝顔を見ていたら、ふとガマさんの言葉が頭をよぎった。


もし彼女に何かあった時、俺はガマさんと同じ行動を取らないと言い切れるだろうか。


そんなことを考えながら彼女の前髪あたりを撫でていると、


「…ん？かず…くん？」


眠そうな目が俺をぼんやりと捉えていた。


「悪い。起こしたな。寝ていい」

「…どうしたの？」

「ん？何が？」

そう言いながら首元まで布団を掛けてやると、彼女が俺の手を掴んで、


「何か…考えてる顔…してる」


ふわふわとした声で言った。


「寝起きなのに何でも分かるんだな」

「…だって彼女だもん」

得意げにそう言う彼女。

「…そうか」

「何かあったの？」

お見通しなら仕方ない。腹をくくって話すことにした。

「今日、一人逮捕した」

「…すごいね」

「それ伊吹の恩師なんだ」

「…え？」

それを聞いた瞬間、彼女は完璧に目を覚ましたようだった。

「ガマさんっていう人なんだけど、俺も会ったことあって」

「…うん」

「すごく優しい人で、愛妻家で、刑事の鏡みたいな人で」

「…そっか」

「…伊吹、めちゃくちゃ泣いてた」

「…それは、心配だね」

「…それで考えた」

「…ん？」

視線を首を傾げる彼女から布団へ落としながら、


「…俺は許せるかなって」


俺はつぶやいた。

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