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───某日
地下牢の静けさの中に、
その軽いノックの音は妙に響き渡る
きっともうすぐ消灯だろう
そうでなくてもこの地下牢には殆ど人が来ないのだ
Aはその肌寒い空気に、軽く背筋を振るわせた
「ああ、ミス・アローズ＿」
扉が開き出てきたのは上から下まで
真っ黒な服に身を包んだこの男
まるで育ち過ぎた蝙蝠のような
魔法薬学教授、セブルス・スネイプである
「これ、持ってきました」
両手いっぱいに抱えた羊皮紙を
軽く掲げれば、入れ、と
部屋の中へ招き入れられる
「ちょうど紅茶を入れたところだ、飲むかね？」
「ええ、喜んで」
Aのその言葉に
眉間に刻まれた皺がふっと緩んだ
テーブルにバサバサと羊皮紙を置いている
Aはそんなスネイプに気付かない
「あ、今日はレモンティーですね！」
カップに口を付けるなり
嬉しそうに目を輝かせるA
スネイプはそんな彼女の様子を
不思議な気持ちで眺めていた
ついこの間まで反抗的で、
簡単な薬の調合も絶望的だった筈なのに
最近どうしたことか、
彼女は目覚しい成長を遂げている
授業に真剣に取り組み
休み時間は熱心に教科書を
眺めている姿をよく見かけるのだ
授業後も積極的に質問に来るし
こうやってレポートも進んで届けに来る
「スネイプ先生？」
どこか一点を見つめぼーっとしている
スネイプをAが何度か呼び掛けると
急にふと我に帰ったように
漆黒の瞳をこちらに向けた
「ああ、すまない。
何の話を＿」
「クリスマスプレゼントですよ、
先生は何か欲しいものないんですか？」
最近ほぼ毎日のように夜
お部屋にお邪魔してこうして紅茶を飲んでいるのだ
きっと仕事も大量にあるだろうに
スネイプは嫌な顔一つせず迎え入れてくれ
魔法薬学を徹底的に指導してくれた
そんなスネイプに何かお礼がしたいと
Aはそう思っていたのだ
「お前が学年末で良い成績を
取ってくれたらそれでいい。」
「そんなんじゃなくて…もっと…
分かりました、頑張ります＿」
ふと紅茶の入ったカップから目を離して
視線をずらせば、目に入るのは
意地悪く歪んだ血色の悪い薄い唇
そういえば最近授業中
露骨な嫌がらせを受けることが
減った気がするなとAは思った
ネビルは相変わらず嫌がらせを受けているが。
「お前は＿＿何が欲しい。」
思ってもいなかったその言葉に
驚いたAは顔を上げた
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しょこら(プロフ) - はじめまして！素敵な作品すぎてコメントさせていただきます！本当にこの作品大好きで何回も読ませてもらってます！ちなみに今から4回目行ってきます！笑どのキャラの心境も繊細に書かれていて見る度惹き込まれます…これからもusagiさんの作品楽しみにしています！ (2022年1月24日 23時) (
レス) id: a91831a4da (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - 拙さん» そう言っていただけて、嬉しいです！これからも御付き合い頂けると嬉しいです:) (2019年12月8日 17時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
拙 - こういうの凄く好きです。色々な人の心情が分かって面白いです。ルーピンもスネイプも大好きなので本当にありがとうございますｍ(｡≧Д≦｡)ｍ (2019年12月8日 15時) (レス) id: c3f8edfab8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usagi | 作成日時：2019年10月26日 14時
