GUILTY 〜それでも愛してる〜＊岸優太＊

罪＊32 ページ32

ほどなくして部屋のベルが鳴った



今、私を訪ねてくる人は彼しかいない



扉の向こうに居る人物がわかるからこんな弱り切った姿を見せることに躊躇いを覚えてしまう



『き…し、、君？』



「うん。」



その一言で彼が目の前に居るんだって事実に気持ちが昂って勢いよく扉を開いた



「うぉっ！！びっくりした〜(笑)」




扉の前で破顔して笑う彼



腕を掴むとグイッと部屋の中へ引き入れてその胸に抱きついた



『ゴメンね、、ずっと連絡しなくて…』




「うん。ゴメン、、我慢出来なくて電話しちった…」



悪いのは私の方なのにそんな風に謝ってくれる君の優しさが愛しい



見上げると目が合ってどっちからともなく重なる唇



やっぱり会ってはダメだった。



どうしようも無いほどの気持ちを持て余してぶつけたくなってしまう


それは君も同じなんだって重ねた唇から伝わって来るから尚更抑えなんて効かなくて



彼の首に腕を回して強請るようにより深く口付けを深めていく




キスだけで頭が真っ白になっていたらグッと腰に回されていた腕が力いっぱい引き寄せられ唇を離された



『ふっ…ぅ、、』



吐き出された吐息と共に見上げれば



「ちょっ、、マジダメ。その顔、、」


岸君の長く綺麗な手のひらが私の顔を覆うように遮ってくる



『何で…？』


意味がわからず問えば



「そんな顔で見られたらマジで我慢効かねぇ…。俺、すっげー汗かいてるしシャワー貸して、、」



余程自分が物欲しそうな顔をしていたのだろうか、、


急に恥ずかしさが込み上げて飛び離れた



『どうぞ、、』



バスルームを腕で指し示すと




「サンキュ。」



って笑顔で人の頭をぽんぽんとして消えていった



ベットに座りしばらくすると聞こえるシャワーの音にだんだんと冷静さを取り戻してくる



私は何故ここにいるのか、、


感情に流されて彼に甘え縋っている場合じゃないのに…



頭では分かっているのに心が彼を求めてしまう



1度認めてしまった感情に蓋をしようとしてもそれは無理な話なんだ



彼があの壁の向こうに居るんだって思うだけで高鳴る鼓動を抑える術なんて知らなくて



一時の気の迷いで離れてしまえば目が覚める


そんなに簡単に彼を忘れられれば良かったのに…

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