理想論2(おついち) ページ7
溜息混じりに本が陳列されている棚へと目をやると最近読み始めた作家の本が目に入った。読み始めたばかりなのでそんなに冊数を持っておらず、見れば私が持っていない本がいくつか存在していた。
(折角だし、もう一冊買おうかな)
そう思い、1番上の棚に入っている目当ての作家の本に手を伸ばすがあと数センチだけ届かない。いつも思うが私より身長の低い人にとってこう言った高い棚にある本は絶望的なんじゃないかと思う。
「も、もう少し・・・」
震える手と足を伸ばし、数センチの隙間を埋めようと必死になる私の手に重なる様に大きな手が先に本を取り出した。
「はい、どうぞ」
そう言って彼は後ろから私の手へと本を差し出した。慌てて振り返れば片手に本を数冊抱えた彼が微笑みながら立っていた。
「お、おついちさん!?あ、有難うございますっ」
「取れないなら呼んでくれれば良かったのに。でも珍しく背伸びしてるAちゃんが見れたから良いかなー」
慌てて本を受け取る私に彼はそう笑いながら言った。
「私はこの身長気にしてるんです・・・」
彼に見つめられた恥ずかしさもあるが、彼の言葉に私は思わず視線を外した。
「そう?僕は好きだけどなー。例えば、このくらいの身長差だとさ」
そう言った彼の言葉が途切れたかと思うと、彼から視線を外していた私の頬に何かが当たった。
「好きって思った時に直ぐキスできるから良いよね」
不意にされたキスで赤面する私に彼は少し意地悪そうに微笑んだ。
【END】
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時