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密なる純愛2(弟者)※ ページ38

「あと、直ぐ電話するように伝えてって言われたんだけど・・・。充電切れてるんだったら良かったら私のスマホ使う?」

そう言って彼女は兄者の電話番号が表示された画面の状態で、俺にスマホを差し出した。少し充電を待って数パーセントでも回復すればわざわざ彼女のスマホを使う必要もないのだが、スマホの電源が切れ、きっと何度も俺のスマホに連絡したであろう兄者の鬼の形相を思うと一分一秒も惜しい。

「ごめんっ、直ぐに返すから。えっと・・・、良かったらそこに座って待っててくれる?」

そう言って俺は彼女からスマホを受け取り、卓上机の傍にクッションが置かれたカーペットの上を指差した。

「入って良いの?」

「直ぐに済むだろうけど、兄者が小言言い始めたらフォローして欲しいんだ。多分Aちゃんが傍に居ればそんなに言わないと思うんだ」

苦笑する俺に彼女はそうだねと笑ってクッションが置かれた位置に腰掛けた。座った彼女を確認してから俺は急いで兄者へと電話を繋ぎ、PCの前の椅子に腰掛けた。




「有難う、助かったよ」

言われたデータを転送し終え、椅子から立ち上がって彼女の傍に腰掛けて通話を終えたスマホを手渡した。

「兄者怒ってたみたいだけど、大丈夫?」

心配そうに尋ねる彼女に、俺は苦笑した。

「聞こえてたか。うん、でもまぁ、本気で怒ってないから大丈夫。あと、おついちさんの編集手伝ってるから帰りが少し遅くなるって」

「そっか、それは仕方ないね。それにしても弟者君の部屋初めて入ったけど、やっぱりゲームソフト多いね」

きょろきょろと辺りを見回す彼女に、俺はようやく彼女と2人きりで居る現実に気が付いた。先程までは兄者にどやされる事とデータ送信で頭が回らなかったが、気が付いた途端俺の心臓が速くなるのを感じた。2人きりの恥ずかしさから俺は少し視線を外して答えた。

「ハードが多いとどうしてもね。これでも厳選して買っては居るんだけど・・・」

「兄者の部屋では見ないソフトがいっぱい。兄弟でやるジャンル違うんだね。あっ」

そう言って彼女はクッションの間に埋もれていた小説を見つけて手に取った。おついちに薦められた小説で最近買ったばかりの本だ。ゲームをする前に寝転がりながら読んでいてしまうのを忘れていた。パラパラと本を捲り、しおりを挟んだページを読みながら彼女は言葉を紡ぐ。

「弟者君もこの小説読むの?」




【NEXT】

密なる純愛3(弟者)※→←密なる純愛(弟者)※



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設定タグ:2BRO. , 兄者弟者 , おついち   
作品ジャンル:恋愛
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時

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