キスの格言(おついち) ページ4
ーーー君の首筋に、僕はキスをするーーー
「キスする位置で相手の気持ちが分かるって知ってますか?」
ふと思い出した様に彼女は何の脈絡もなくそう言った。
「へぇ、どういうの?」
普段から思い立ったら言葉を口にする彼女に対し、僕は大して驚きもせず応えた。ソファでくつろぐ彼女に温かい珈琲を差し出した後彼女の横に腰掛ける。
「有難うございます。えと、この間読んだ小説にそう言う話しが出ていて、例えば手の甲にするキスは尊敬、掌のキスは懇願、瞼にするキスは憧憬とかで・・・」
珈琲の入ったカップに口付けながら彼女は思い出すように言葉を紡いでいた。
「それって“キスの格言”じゃないかな?」
「キスの格言、ですか?」
首を傾げる彼女に僕は記憶の引き出しの奥底に眠る情報を思い出す。
「確かオーストリアの劇作家が作った作品の台詞で使われたんだよ。“手の上なら尊敬のキス 、額の上なら友情のキス、頬の上なら満足感のキス・・・”みたいな感じでね」
「へぇー、流石おついちさん。詳しいですね」
「まぁ、浅く広くだけど、デザイン系の仕事をしてると色々アンテナを張らないといけないから自然とね」
そう言って僕も自分のカップに注がれている珈琲に口付けた。
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時