好きな人2(おついち) ページ29
「アクセサリーはパール系で、靴はベージュのヒールでー・・・」
そう言って彼女は楽しそうに明日の服のコーディネートを僕に話し、複雑な気持ちを誤魔化しながら僕も相槌を打っていた。暫くしてから仕事の疲れからか、はたまた明日のデートに浮かれて早いペースでお酒を仰いだせいか彼女の口数が減り、欠伸を1つすると僕のベッドに横になった。
「A?」
横になった彼女に声を掛けるも反応せず、見ると気持ち良さそうに静かな寝息を立てて眠る彼女が居た。
「・・・A」
彼女の傍に腰掛け、もう一度彼女の名を呼んでみるが僕の呼び掛けに応える声は無い。
「・・・なんで、アイツなんだよ」
眠る彼女の髪を指先に絡め、僕は1人呟いた。
もっと早く
君に想いを伝えていたら
こんな結末にはならなかったのだろうか
「本当、人の気も知れねぇで俺の前で眠りやがって」
そう呟いて僕は眠る彼女の唇にキスをした。王子様のキスで眠り姫が起きると言う事もなく、彼女は変らぬ寝息で明日の出来事を楽しみに夢を見ている。
「あーあ、無理矢理にでも襲っちまうぞチクショー」
失恋からの悲しみと、今すぐ彼女を手に入れたいと言う欲望を誤魔化すように僕は複雑に混ざり合った想いを言葉に乗せ、幸せそうに眠る彼女の頬にそっと手を置いた。せめてこの時間だけでも彼女が僕だけのものであれと願いながら。
【END】
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時