視線の先(兄者) ページ24
ーーーねぇ、こっち向いてよーーー
「恋のライバルが液晶画面なんですけど、その場合はどうすれば良いですかおついちさん」
「突然何を言い出すのかなAちゃん?」
台所で紅茶の用意をするおついちが私の投げ掛けた言葉に苦笑しながら答えた。
「兄者ったら私が遊びに来てもゲームばっかりなんですよ?昨日はハード、今日はPCで・・・。画面から視線が外れないんです」
ムスッとしながら言葉を紡ぐ私におついちはそう言う事かと呟きながら温かい紅茶をカップへと注いだ。幼馴染の弟者の兄である彼を好きになり、事あるごとに家に遊びに来ているが全然相手をして貰えず今もこうして彼の仕事仲間のおついちに相談と言う名の愚痴をこぼしている。
「動画撮影はお仕事ですから仕方ないです。でもせめてオフの日には違う遊びをしても良いと思うんですよ。例えばショッピングとかっ」
「それ直接兄者に言ってみた?」
「言えてたらおついちさんに言ってませんよー」
そう言い放つ私にそりゃそうだとおついちは笑いながら食卓の机に突っ伏して居る私に温かい紅茶を差し出してくれた。そして再び台所へと戻るとボウルに材料を入れて何かを混ぜ込んでいる。
「兄者も趣味=ゲームだからなぁ。あとはサバゲーか。 そう言えば兄者はどうしたの?」
「コンビニにコーラー買いに行くって言って置いてけぼりにされました」
「あらま。それで兄者の部屋から降りて来たのか。まぁ、そういじけないで。もうすぐ生クリームが出来るからさっき焼いたシフォンケーキでも食べて機嫌直して?」
もう何度も彼の事で相談している為か、私の扱いが慣れているおついちに促される様に私は顔を上げた。
「優しいおついちさんが大好きですっ」
「うん、そのセリフは兄者に言ってあげな」
likeである好きを伝えた私におついちは笑顔でそう答えた。
「言えたら苦労してないですし、そもそも兄者が大好きなのはゲームですので私には入る余地が無いんですよ。・・・もういっそ兄者はゲームと付き合えば良いんじゃないかな」
いつまで経っても
重なることのない視線
それでも想い続けてるのは
もしかしたらの可能性を信じたいから
【NEXT】
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時