♀/Ωバース/β主のα相手/切なめ ページ4
※Ωバースの設定を使用してます※
詳しくなくとも読めるようにしておりますが、
無知です、という方には読み辛いかと思われます。
「A、結婚してくれ」
バラの小さめな花束を私に差し出し、
今日もαの彼は飽きずに告白してくる。
「遠慮します。そろそろ諦めてください」
私は怪訝な顔をし、また彼を振る。
何故、彼が私に告白するのか理解できない。
αで常に上位を行く彼に対し、平々凡々なβの私。
もしΩだったのなら、この告白を受け入れていたであろう。
「…貴女が好きなんです」
「《運命の番》と結婚してください」
後天性Ωがあるとすれば別だけど、
生憎とどの精密検査でもβ判定なのだ。
よって、私はβ性との結婚しか視野に入れていない。
「だが！」
「困る、と言っているんです」
分からないんですか？
そう言うと、やっと帰る気になってくれた。
ただでさえαとの会話は周囲から反感を買いやすい。
まして告白(求婚)ともなれば嫉妬の対象でしかない。
「…すまなかった」
しゅん、として背を向けた彼に罪悪感が沸くが、
私にはどうすることもできない。
彼が見えなくなると、
鼻の奥がツンとし、自然と視界が歪む。
「臆病で、ごめんなさい」
貴方の気持ちに応えられず、ごめんなさい。
のどから声が出ず、発した言葉が掠れる。
私は彼に《運命の番》が現れることを恐れている。
だから彼と付き合えない。
でも、せめて、この告白の時間は彼を独占させて下さい。
彼が《運命の番》に逢う…見つけるその時まで。
彼との逢瀬を赦してください。
信じもしない神に赦しを請うた。
＿＿報われない両片想い
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作者名：秋花火 | 作成日時：2015年12月3日 20時
