【オリジナル】気紛れ投稿【ＳＳ集】 (ページ25)

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♂？/夏/SF(少不思議) ページ25

嗚呼、愉悦也。

本日は晴天なり、晴天なり。
雲ひとつなき空にて。

気温は37度強。風が吹くも熱風。

窓に在りし風鈴が、
クーラーに揺らされ音を鳴らす。ちりん。

これぞ夏の風物。

外から子どもの声に混ざり、セミの鳴き声。
昼下がり。

台所でご飯の支度をする。
夏ならば、冷えたザル蕎麦。うどんは冬に温派。

からん。

氷を入れたお茶のコップから聴こえた。
はて。

そういえば、この家はどこの家だろうか。
浮かんだ疑問。

そう思えば、なぜ自分は一人なのだろうか。
漠然と広がる不安。不信。

反する高揚もやってくる。

クーラーが効いているはずだというのに、
じっとりと汗で濡れる背中。

涼しいというのに、と違和感を覚える。

─暗転。
遠くから聞こえる救急車のサイレンが、
頭に残った。

──────それも夏の風物なりて。