♀/再会/オネェ（） ページ3
「Aちゃん？久しぶりね！」
「え、先輩!?お久しぶりです！」
有休なのに出勤という仕打ちを受けた帰り道。
寄り道がてら行きつけの喫茶店に入れば、
学生時代にお世話になった先輩が先にいた。
「よければ一緒にどう？」
「ぜ、是非！」
女口調だが、先輩は生物学上'男'だ。
世間でいうオネェ、とか女子力がある、の部類だけど...
それすら気にならない人の好さと性格があるので、
彼は常に輪の中心であったりする。
「え、先輩、まだ独身なんですか？」
「あらやだこの子。
もう少しソフトな言い方があるでしょ！もう」
「すみません(笑)」
「本当に…あ、コーヒーのおかわりお願いします」
顔良し、性格良しの優良物件。
既に相手がいるのだろう、と思っていたのに、、
(オネェ系が最終判断を渋らせていると思うけど)
「そう言うAちゃんは？彼氏の一人はいるの？」
先輩が運ばれたコーヒーを含みながら質問した。
キズを抉ったことを根に持っているらしい。
「私もそんな影はありませんよー」
良い物件ないかなー？な日々です。
小さく笑いを零し、答えた。
私の返答に先輩がにたり、と笑った気がした。
「なら、ワタシはどうかしら」
「え…？」
放たれた言葉に理解が遅れた。
「優良物件な自覚はあるし、後悔だってさせないわ
あ、勿論、Aちゃん次第になるけどね」
意地の悪い笑みを浮かべながら、先輩は話を進める。
「あ、のっ」
「大丈夫よ。返事を急かす気は無いからね。
とりあえずアドレスは交換しておきましょうか」
綺麗な微笑を
私に見せるや否や、席を立っていった。
気づけば手元にアドレスが残り、
伝票片手に会計を済ませた彼は手を軽く振り、
「じゃーね」
店を出ていた。
私は頬が赤くなるのを自覚しつつ、
自分の伝票を持って会計を済ませた。
くっそ！
かっこ良すぎか！あの人は！
店を出ると
昔に捨てたはずの恋が戻ってくる音がした。
＿＿「お帰り」と呟く
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作者名：秋花火 | 作成日時：2015年12月3日 20時
