24余所見 ページ30
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カナヲside
「.....ん...」
あれ、いつの間にか寝てしまっていたみたい。
まだ完全に眠りから覚めていない目をこする。
すると、肩から何かがずり落ちる。
「羽織...?」
しかも、幸の。
もしかして、掛けてくれたのかな。
じんわりと胸が温かくなる。
羽織をぎゅっと大事そうに抱き締め、立ち上がり、幸の元へ向かった。
――
―
幸side
「それでね....」
俺の隣で嬉しそうに話すのは、美琴さん。
カナヲの部屋から出ると、すぐに出会い、縁側に腰を下ろして 話いていたところだった。
美琴さんの話す話は、本当に面白い。
だけど、今の俺は、カナヲの事しか考えられなかった。
だってさ...、起きたら俺の羽織が掛かってんだよ?普通怖くない?「幸、無断で私の部屋に入ってきたの...?」なんて言われちゃうじゃん...。
いやぁ...想像したら辛くなってきた...。
「.....幸くん?」
「はいっ!!!!!」
「どうしたの?さっきからぼーっとして...」
「あ、あぁ、ごめん...。考え事してた」
「.......それって、栗花落さんのこと?」
「ギクッ」
「そっか」
お、俺、最低だ...。美琴さんが話してる中、ずっとカナヲの事考えてて...。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
すると、美琴さんがかしこまったように、「あのっ...」と言った。
「幸くんのこと、困らせたくなかったから、絶対言わないって決めてた。
──けど、もう我慢出来ないみたいだから、言うね。
私、幸くんのこと好き。
初めて会った日から、ずうっと」
そう告げる美琴さんの目は、眩しいくらいに綺麗で、思わず吸い込まれてしまいそうだった。
でも....。
俺は、カナヲのことが好きなんだ。
それは、紛れもない真実。
そんな気持ちで美琴さんと恋仲になるというのは、あまりにも失礼じゃないのか。
「俺は」
すると、美琴さんの人差し指が俺の唇に触れた。
「勝手かもしれない。けど、まだ答えは聞きたくないの。
もしかしたら、気持ちが変わるかもしれないでしょ?」
「で、でもっ」
「分かってるよ、幸くんは栗花落さんのことがまだ好きなんでしょ?降られても尚。
だったら、私と恋仲になることで逃げてしまえば良い。それも一つの選択だよ」
「それじゃあ」と言って、美琴さんは何度か振り返りながらも帰っていった。
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天の川(プロフ) - 5回目以上の読み返し。はぁ…最高すぎるわ…てか主さん主さん!カナヲは僕の嫁ですよ!!(真剣)(笑) (2022年2月28日 13時) (レス) id: 2d6957fece (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - うわあカナヲちゃん好きなので最高です!! (2020年8月14日 18時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!!幸くんの最後の台詞にやられました!幸くん、男前やん。もうものすごいにやにやしてましたw気持ち悪いぐらいにwお疲れ様です! (2020年5月28日 12時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃんこ - お疲れ様です!別垢見つけたら絶対に作品見ます!! (2020年4月28日 17時) (レス) id: cf6601d86b (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり。(?)(プロフ) - 宙さん» 暖かいコメント、ありがとうございます‥‥。叩かれる覚悟で言ったのに、そんな優しい言葉をかけてくださり、本当にありがとうございます‥‥!涙出ます‥‥! (2020年4月27日 22時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かたつむり。(?) | 作成日時:2019年12月22日 8時