【男主】余 所 見 す ん な 。【栗花落カナヲ】

２２余所見 ページ28

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幸side

ここ最近、気になる事がある。





「どうせカナヲの事でしょ？いつものことじゃん」



って思ったそこの貴方。

ちゃうちゃう。今回は本当に違うの。



実は最近、めっちゃ美琴さんに会う。しかも、偶然ではなく、会いに来てくれている。


別に嫌な訳でもないし、普通に話すの楽しいから良いんだけどさ。

困ったことに、カナヲには全然会わない。


え？「結局カナヲのことじゃん」だって？

気にしなくて良いよ....ﾌｯ。


しかも、良いのか悪いのか、今回は、お互いに避けてるとかではなく、ただ単に時間が合わないだけ。





と、いうことで。会いに来ました。

今、俺の目の前には、カナヲの部屋の襖がある。

あとは、襖を開けるだけ。


そう、開けるだけ...。


なのに何だ、この謎の恥ずかしさは。

襖の前でヘタヘタとしゃがみこむ。




「意気地無しだなぁ、俺...」




あと少しの勇気が出てこない。





「あぁ〜...」




頭を抱え込むようにうずくまっていると、突然声をかけられた。





「幸？どうしたんですか？」

「ギャッ」





驚いたあまり、後ろに退く。そのせいで壁に頭をぶつける。

俺に声をかけてきたのは、師範だった。足音も無しに近寄ってくるもんだからめっちゃビビった。




「そんなに私が怖いんですか？ふふっ、安心してください。取って食ったりはしませんよ。

......まぁ、それ以外の事はしてしまうかもしれませんが」

「ちょっと！？それ以外のことって何ですか！？それが一番怖いんですよ！」




あぁもう、だから師範は怖いんだよぉ...。





「というより、ここで何していたんですか？具合が悪そうにしゃがんでいましたが....あら」




辺りをキョロキョロ見回した師範は、何かを察したようにカナヲの部屋を見つめ、少しニヤッとした。



「本当に意気地無しですねぇ。だからモテないんですよ」

「グハッ、
幸くん、大ダメージ...」



胸を痛ませたふりをする俺に呆れつつ、再度カナヲの部屋を見つめた。

「しょうがないですねぇ」と言うと、師範は襖を開け、部屋を全開にした。

ちょっ、...ノックぐらいしましょうよ。着替えてたらどうするんですか。

と思ったが、そんなラッキースケベな展開はなく、机にカナヲはうつ伏していた。




「あら、寝てますね」

「...........ホッ」

「『ホッ』じゃありませんよ」

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