【男主】余 所 見 す ん な 。【栗花落カナヲ】

１１余所見 ページ14

初春美琴は、 ういはるみこと と読みます。


※※※

翌日の昼時、鍛練も終わり、皆で昼御飯を食べ終えたばかりの時のこと。

相も変わらずカナヲには避けられていた。

(どうにかなんないかなぁ..)

そんな事を考えながら机に伏せていた。

トスン、と静かに戸が開いた。が、誰が来たかを確認はしなかった。

カナヲの事を考えていて気持ちが落ちていたから。

「誰？」

素っ気なく言った。

失礼だったかもと反省しつつも、返事を待った。

「ど、どうかしたの？」

ビクッ、と自分の体が過剰に反応したのが分かった。

昨日とは違って、誰の声か明らかだったから。

「...カナヲ」

そう、カナヲだった。

もしかして、避けてた事について何か話があるのか、と少しだけ期待したが、

「さ、幸にお客さんが来てるから呼びに来たんだけど..具合悪いなら断ってくるよ？」


と、全然違う話だった事にガックリと肩を下ろす。

しかし、お客さんとは誰の事だろう。


「お客さんって、誰？」

刀が刃こぼれしてる訳でもないから、刀鍛冶の人達でも無いだろう。

「えっと..初春美琴さん、って言う人何だけど」

初春..あ！

昨日の人か。

お礼をって言ってたから、きっと、その事だろう。

「どこで待ってくれてる？」

「玄関。だけど..その人とどういう関係？」

カナヲがそんな事聞いてくるなんて、珍しい。

嫉妬でもしてくれてるのかな？って、そんな訳無いか。

「うーん、知り合いかな？」

「..そっか。じゃあね、」

そう言って部屋を出ていったカナヲ。

俺もそれに続いて部屋を出た。


――
―

「あ！連理さん！」

「お、いたいた」

玄関の所に寄りかかって待っていてくれた初春さんの所まで小走りする。

「どうしたの？例の『お礼』？」

「はい！早速行きましょう！」

「ちょっ、」

腕を引っ張られ、しぶしぶお出かけする事となった。

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