6話 ページ7
You,side
その次の日、俺は都内のホテルにいた。
『来栖さん、こちらは準備完了です。』
「了解、引き続き頼む。」
何故かというと、今日の夜行われるパーティーに
公安がマークしている人物が参加するからだ。
それも、ここで取引をするとの情報が。
今の時刻は16時。
パーティー開始は18時だ。
取引をしている瞬間を現行犯で逮捕する。
俺はターゲットに接触し、発信機型盗聴器を付ける。
かなり危険だが、ここで失敗したら全てが水の泡だ。
失敗は許されない。
それぞれに指示を出し、持ち場に着く。
時刻はもう17:30になっていた。
パーティーの開場だ。
華やかなドレスやタキシードを着た人々が入ってくる。
その中に、俺も紺色のタキシードに身を包み、中に紛れる。
『あ、あ、来栖さん、聞こえますか?』
「あぁ、問題ない。」
しばらく歩くと、ターゲットの姿が見えた。
「ターゲット発見。」
インカムで伝える。
『了解しました。』
「接近する。」
『分かりました。』
どこかのお偉いさん達と話しているターゲットに近付く。
「おっと、すみません。」
わざとぶつかり、袖の中に機器を仕込む。
『いや、大丈夫だ。』
今回のターゲットは30代の男。
IT会社の社長だ。
面ではボランティアだ何だのと、良い顔をしているが、
裏では今回のように違法な取引をしている常習犯だ。
「お飲み物、かかっていませんか?」
『あぁ、大丈夫だ。』
「そうですか、では、これで・・・」
『ちょっと待ってくれ、』
「何でしょう?」
『少し飲まないか?』
「ええ、僕で良いなら。」
そう言うと、男は近くにいたウエイターを手で呼び寄せ、シャンパンを2つ取った。
そして、1つを俺の前に差し出した。
「ありがとうございます。」
『乾杯』
「乾杯」
コツン、とグラスの触れ合う音が響く。
「今話題の染谷社長のご一緒に飲めるなんて光栄です。」
『僕のことを知ってるのか。』
「勿論、IT会社の若手のやり手社長って話題になってますから。」
『ははっ、参ったな。』
『所で、君は?』
「僕は友人に招待されて来たのですが、肝心の友人は挨拶回りで忙しくて。」
『そうだったのか。』
「ええ。」
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作者名:Autumn | 作成日時:2019年6月23日 16時