E組一の問題児 (ページ27)

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カルマside

椚ヶ丘駅からバスで10分ほど移動し、やって来たのは"加賀"と表札がかかった一軒家。

Aの昔の家だ。

｢ここまで付き合わせてごめんね…｣

玄関の前でAは掴んでいた俺の服を離した。

そして、チャイムを3回押して家の中に入っていった。

俺は帰ってもどーせ暇だからAの用事が済むのを待つことに。

実際、一緒に帰りたいだけだったりするんだけど。

ゴッ…

家の中から鈍い音が響いた。
俺の知ってる音。不快な音。
誰かを殴ったりした時に聞こえる音…

｢学年1位おめでとう！テストお疲れ様、努力したね、よく頑張ったわね！｣

｢いい成績取ればそんな労いの言葉かけて貰えると思ったのかしら？｣

｢…………。｣

俺の知らない女性の声。
窓が空いてるからか中の音が丸聞こえ。

｢なんであんたなんかがいい成績取れんのよ！｣

怒号と共に再びゴッ…と不快な音がした。

｢なんでサボってばっかで休んでばっかのあんたの方が成績いいのよ！｣

｢なんでいつも遊んでるあんたなんかが学年1位なの！！｣

怒りのような、八つ当たりの様な言葉と共にゴッ…ゴッ…と不快な音が何度も響く。

しばらくして音が聞こえなくなり

｢…可哀想。死ぬほど努力してる"ミカ"が可哀想。｣

そんな言葉と共に怒号が鳴き声に変わった。

…俺はなにもできなかった。