有岡先生 ページ46
侑李サイド
ふと、院内学級の時の大ちゃん先生の言葉を思い出した。
涼介は検査で検査室に、裕翔はお母さんと病院の中にある庭にいるから、行くなら今がチャンスだった。
平気なふりはするなって大ちゃん先生は言っていたけど、僕はどうすればいいのかわからなかった。
先生に、聞くか。
僕は、読んでいた漫画にしおりを挟んで部屋を出た。
いつでもいるからとか言っていたけど、ほんとにいるのかな?
今日は院内学級はお休みの日だったから、廊下を歩きながら不安になった。
ちらっと教室を覗くと、机に突っ伏して寝ている大ちゃん先生が目に入る。
寝てんのか……。
僕は、音をたてないように扉を開いて教室に入った。
椅子をそっと持ち上げながら動かして、そこにゆっくりと座る。
こっちから話しかけにくいから、気づいてほしいなぁとか、早く起きてよぉとか思って待っていると、いきなり大ちゃん先生が飛び起きた。
有岡先生「ゆぅりぃ! 来たんだぁ! お話しよおよ! ね?」
侑李「……はっ、はい……」
ハイテンションなのに寝ぼけている大ちゃん先生に、若干引きながらも、僕は返事をした。
有岡先生「ゆうりぃ? だいじょーぶなの?」
侑李「……わかんない」
有岡先生「そっかぁ、それは重症だな」
侑李「僕、平気なふり、してる感じがする?」
有岡先生「する、ちょっとだけ。辛そうだなってのも、感じる」
有岡先生は、ときどき目をこすったり、ぴょんと跳ねた前髪の寝癖を整えながらそう言った。
侑李「裕翔に、バレてるかな?」
有岡先生「裕翔くん、もう知ってると思うけど?」
侑李「えっ?」
有岡先生「伊野ちゃんとか、言いそうじゃん?」
侑李「……たし、かに」
有岡先生「だから、平気なふりはしなくてもいいんじゃないかなって思う」
侑李「でも、……」
有岡先生「わかるよ」
大ちゃん先生は、僕の言葉を遮ってそう言った。
有岡先生「昔から、人前では、強がってたもんな。痛いときは、たまに涙目になってたけど。それに、今回は涼介も一緒だから、余計泣けないだろ」
侑李「でも、僕、もう……」
僕は、もう泣いちゃったんだよ。涼介の前で。
そう言おうとしたら、もう一度大ちゃん先生が被せて言ってくる。
有岡先生「誰だって泣くよ、あんなこと急に言われたら。俺だって、どうしたらいいかわかんないもん。まだ悲しいだろ?」
侑李「うん」
有岡先生「なら泣けよ」
大ちゃん先生のその言葉のせいで、僕の涙は溢れ出した。
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作者名:J | 作成日時:2020年3月15日 20時