JUMPの闘病生活。 (ページ45)

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有岡先生ページ45

侑李サイド

久しぶりに来た院内学級の教室。

中にはほとんど人がいなくて、大ちゃん先生と伊野ちゃん先生が話していた。

侑李「入らない方がいいよね」

涼介「うん、たぶん」

裕翔「ちょっと待ってよっか」

僕たちは、廊下の端の方に座って指スマをする。

しばらくして僕が勝った頃に、伊野ちゃん先生が教室から出ていった。

涼介と裕翔の勝負はまだ終わってないけど、僕たちは教室に入る。

有岡先生「っ、……お、おう！久しぶりだな！今日も鬼教師として指導してやるよ」

大ちゃん先生は、僕の目を見て、一瞬戸惑いの表情を浮かべたけど、すぐに笑ってくれた。

変な冗談も言っているけど。

涼介「鬼じゃないじゃん」

涼介がつっこんだ。

有岡先生「そうだけどさ。まあ、そこ座って」

僕たちは、大ちゃん先生が座っている席の目の前の席に座った。

有岡先生「えーっとね、涼介はこれ、侑李はこれ？裕翔くんは、これかな？もう学校でやった？」

大ちゃん先生はプリントをあさって、僕たちそれぞれのを見つけて机に置いていく。

裕翔「やってない、ですね」

有岡先生「じゃ、これはやった？」

裕翔「はい」

有岡先生「なら、それやってね。あと、敬語じゃなくてもいいんだよ？」

裕翔はコクッと頷いた。

有岡先生「久しぶりだから、忘れちゃってるかもな。ちゃんと聞いてよ？」

僕たちは「はーい」と返事をする。

立体の体積と表面積を求める問題が、大量にある。

ほんとは１年前にやるはずなんだろうな、普通の子は。

そのはずなんだけど、今の僕には、難しくて。

侑李「先生、教えてください」

敬語で大ちゃん先生を呼ぶ。

有岡先生「これ？球の表面積の求め方あるんだけど、わかる？」

侑李「わかんない」

有岡先生「４πｒの２乗」

侑李「ほぉー」

……と言ってみたものの、全くわからない。

有岡先生「やり方教えるから見てて」

大ちゃん先生は、僕のプリントに５色のボールペンで次々と書き込んでいく。

有岡先生「ｒは半径な。πは円周率。これをこうして、……はい、できた。わかった？」

侑李「うん」

大ちゃん先生は、プリントを裏返して、つらつらと文字を書いていく。

〝大丈夫か？無理すんなよ今度１人でもおいでよいつでもいるから平気なふりはするな〟

僕はコクリと頷いた。

すると、大ちゃん先生は涼介の方に歩いていった。

大ちゃん先生の気遣いが嬉しくて。

ちょっとだけ泣きそうになってしまった。