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新しい仲間! ページ38

涼介サイド

たったの3日だった。

圭人と一緒にいられたのは。

ようやくお互いのことがわかってきたのに、俺たちより先にICUに行ってしまった。

侑李「りょおすけ、圭人、大丈夫かな」

涼介「大丈夫だよ、きっと」

侑李「でも……っ!」

涼介「……うん、そうだね」

侑李の言いたいことは、わかっていた。

俺達はいろんな仲間を見てきたけれど、ICUに行って、治って戻ってきた人は、1人もいない。

だからきっと、不安なのだろう。

圭人も、戻ってこれないんじゃないかって。

俺だって不安だった。そして、少しだけ、諦めてもいた。

静かな病室に、コンコンっとノックする音が響き渡った。

伊野尾先生だった。

伊野尾先生「大丈夫、じゃないよな。あのさ、圭人に、会いたいか?」

あまりにも突然なその言葉に、俺はまばたきを2、3回繰り返す。

会いたい! 俺の心は、そう叫んでいた。

でも―――――

ほんとは、怖かった。

弱っている圭人を見るのが。

矛盾している気持ちが、同じ大きさで2つ存在している。

だから、俺も侑李も、すぐには答えられなかった。

伊野尾先生「ゆっくりでいい。だけど、怖くて逃げているのなら、それはだめだ。」

まるで、伊野尾先生に心を読まれたかのようにそう言われた。

伊野尾先生「逃げるな。絶対に後悔するぞ」

それは、伊野尾先生の、優しい厳しさだった。

侑李「……会いたいよ! 会いたい!会わせて! 伊野ちゃん先生!」

涼介「俺も、会わせてほしい」

伊野尾先生「じゃあ、今日の夜。また来るから」

伊野尾先生は、そう言い残して部屋を出ていく。

侑李もいるから言わなかったけど。

俺は、もうわかってしまった。

さっき伊野尾先生が言った言葉の意味。

もしかしたら、本人も気づいていないかもしれない。

逃げるな。絶対に後悔するぞ。

後悔するというのは、しかも絶対にというのは。

今、会わなければ、圭人にもう2度と会えなくなる。

つまり、圭人はもう……。

――――――――長くはないんだ。

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作者名:J | 作成日時:2020年3月15日 20時

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