新しい仲間! ページ37
侑李サイド
今日は早く起きたけど、みんなで過ごす時間はあっという間で。
時計の針はもう、3時20分を指していた。
侑李「もーこんな時間か」
涼介「ほんとだ。早いね」
ガラガラガラっと、ドアが開く音がする。
「よっ」と元気よく姿を現したのは、伊野ちゃん先生だ。
涼介「伊野尾先生、どうしたの?」
伊野尾先生「遊びにきた!」
先生って、意外と暇なのか?
圭人「先生って遊びにくるの?」
伊野尾先生「うん、コミュニケーションね」
圭人「へえ、そうなんだ」
涼介「伊野尾先生は、結構来るよね」
伊野尾先生「コミュニケーションだから」
侑李「それ、さっきも聞いたよ」
くだらない会話で、みんなで笑った直後だった。
圭人「ううっ……う」
伊野尾先生「圭人くん? 圭人くん、しっかりね」
侑李「け、いと……?」
それは、あまりにも突然で。
僕と涼介は、現実を受け入れられなかった。
圭人「ううっ…………ゴホッ」
圭人は口に手を当てた。
指の隙間から、赤い液体が漏れる。
――――――――ガラガラガラ
勢いよく扉が開く。
涼介「八乙女先生!」
八乙女先生「吐血か?」
伊野尾先生「そう」
八乙女先生「ICU、だな」
ICU? もう、圭人に会えなくなっちゃうの?
やっと出会えた仲間なのに、もう別の部屋に行っちゃうの?
八乙女先生「涼介、侑李」
光先生は、圭人の処置をしながら、僕たちに話しかけた。
侑李「なに?」
小さく震えた僕の声に、自分でも情けないと思った。
八乙女先生「ちょっとさ、圭人、ICUに行くんだけど。大丈夫か?」
大丈夫か?
それはつまり、僕たちに現実を受け入れられるかということなのだろう。
侑李「…………僕たちは、大丈夫だから。圭人を、助けてよ」
八乙女先生「よし、涼介は?」
涼介「……大丈夫。いっ、……行って」
八乙女先生「じゃあ行くぞ」
先生たちは圭人のベッドを動かした。
涼介「圭人、待ってるから。いつまでも。だから、安心していいよ」
涼介が言い終わるのとほぼ同時に、扉が閉まった。
部屋にはまた、2人だけになった。
涼介「ゆうり、圭人、大丈夫だよな?」
侑李「きっと、大丈夫だよ」
涼介「侑李は!……ゆう、りは……」
涼介は、うつむいて、唇を噛んでいた。
僕も、上を向いて、涙が溢れないようにしていた。
圭人の症状は。
まるで、僕たちの将来を見ているようだった。
いずれはそうなるんだろうと、僕たちは覚悟を決めた。
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作者名:J | 作成日時:2020年3月15日 20時