双子の絆(ゆめあ様 リクエストです) ページ30
侑李サイド
暇だなー。
病室に1人きりになってしまった僕は、天井を見上げた。
裕翔はまだ別の部屋に入院しているし、涼介は病気が進行していないかの検査をしに、伊野ちゃん先生と一緒に検査室に行ってしまった。
僕は、ベッドのとなりにある僕専用の小さなたんすの中からゲームを取り出す。
5、6分間は楽しかったけど、すでに何度もやりまくった内容に飽きてしまった。
僕の口から、「はぁー」と大きなため息が溢れた。
なんか、面白いことないのかな。
院内学級にでも行きたいな。
今日に限って院内学級はやっていないし、いつもは暇だからと言って病室に来る先生たちも全然来ない。
大ちゃん先生とか、雄也先生とか、絶対暇なのに。
どこか行こうかな。
そう思って立つと、視界が大きく揺れた。
寝ているとちょうど良かった副作用を抑える薬の効果が立ったことによって弱くなったのかもしれない。
僕は、ベッドに座った。
それでも、めまいはおさまらなかった。
ぐにゃぐにゃと歪んでいた景色が、突然、真っ白になる。
貧血、なのか……?
そういえば、昨日伊野ちゃん先生が副作用に貧血があるとか言っていたような……。
いろいろ考えていると、今度は吐き気が襲ってきた。
袋を探そうと、涼介と僕のベッドの間にある、急に体調が悪くなったときに必要なものが入ったたんすの中をあさった。
吐き気をこらえながら、必死に探す。
でも――――――――
もう、なんでないんだよ。
それは、いくら探しても見つからなかった。
僕は、トイレに向かおうと立ち上がる。
そのとたん、今までとは比にならないほどの強いめまいがした。
侑李「ぐぁっ………」
色が飛んだような世界のなかで、いろいろなものがぐにゃぐにゃといびつな形に変形している。
まるで自分自身の体重に耐えられなくなってしまったかのように、突然膝がガクッと折れた。
当然、踏ん張ることなんてできずに、僕の体は重力に引かれて下に落ちていく。
その時。
――――――――ガコンッ
たんすの角に、思いっきり頭をぶつけてしまう。
鋭い痛みが、足の指先まで電流のように走った。
プツン、と電源が切れたように、急に体が動かなくなった。
なにかを考えることだって、急にできなくなった。
僕の頬に、冷たい何かが触れた。
それが床であることに、このときの僕は気づかなかった。
いや、気づけなかったの方が正しい。
僕は、なにも考えられないまま、意識を手放した。
227人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:J | 作成日時:2020年3月15日 20時