JUMPの闘病生活。 (ページ29)

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双子の絆ページ29

侑李サイド

涼介「侑李。俺、ずっとここにいるからね」

涼介は、僕の手を握っていてくれた。

伊野ちゃん先生の代わりに、光先生が僕の様子を見てくれた。

涼介は「大丈夫か？」と聞いたあとに、僕の顔を覗き込んできた。

僕が「大丈夫」と言おうとした瞬間に、心配そうな涼介の顔がぐにゃんと歪む。

侑李「うっ、……はぁっ……はぁっ……」

今までよりも激しいめまいに、情けない声が漏れた。

八乙女先生「苦しい？」

侑李「ちがっ、う………めまい……」

八乙女先生「めまいか。目を閉じててね」

侑李「うん」

僕は目を閉じる。

歪んだ景色を見たせいで吐き気も出てきて、僕は手で口を抑えた。

八乙女先生「気持ち悪い？」

僕は、コクッと頷いた。

涼介「吐きそう？」

僕が頷くと、光先生が黒い袋を口に当ててくれた。

思わず目を開けてしまったから、気持ち悪さが増してくる。

涼介は、僕の背中をさすって「我慢しなくてもいいよ」と言ってくれた。

その言葉のせいで、胃の中のものが逆流してくる。

口腔内に、酸っぱいにおいが広がった。

侑李「うぅっ……ケホッ、………ごめ……なさっ……」

八乙女先生「謝んなよ。何も喋んなくていいから。ごめんな。吐き気止め足りなかったかな。ちょっと強くするから」

光先生は副作用を抑える薬が入ってる方の点滴をいじっていた。

そのおかげもあって、数分が経った頃には、めまいと吐き気は治まっていた。

涼介は、僕が「もう大丈夫だよ」と言っても背中をさすってくれていた。

侑李「りょおすけ、ありがと」

僕がお礼を言っても、涼介は「まだ喋んな」と言って、背中をさすってくれた。

その顔は真っ赤になっていたから、おそらく照れている。

侑李「りょおすけ、顔真っ赤だよぉ？」

涼介「だから喋んなよ。無理すんな」

侑李「……してないもん」

本当にもう大丈夫なのに、涼介は「辛いだろ？」と心配してくれる。

だから僕も、涼介に甘えている。

大丈夫でも、背中をさすってもらっている。

心配してくれることが、涼介の優しさなのだとわかっているから。

そして、僕が大好きなのは、そんな涼介だから。

涼介、ありがとね。本当に、本当に感謝してるんだよ。

僕は心の中で、何度もお礼を言った。

声に出すと、「だから喋んなって」と言われてしまうから。

だから、言葉の代わりに、思いっきり笑ってやるんだ。

すると涼介は、笑い返してくれた。

その笑顔と、雲ひとつない青空が、とても気持ち良かった。