JUMPの闘病生活。 (ページ24)

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母親の記憶(ここな様リクエストです) ページ24

涼介サイド

有岡先生「涼介、どうしたの？」

伊野尾先生「そうだよ、どーした？」

伊野尾先生が、俺の頭を撫でようと手を出したから、俺は体を丸めた。

伊野尾先生の手が俺の頭に触れる前に、有岡先生がそれを止めた。

有岡先生「触られたくないんでしょ？」

涼介「……うん」

有岡先生「喋るのも嫌？」

本当は嫌だったけど、そう言ったら嫌われちゃうかな。嫌われたら、暴力奮われるのかな。

涼介「……ううん」

俺は嘘をついた。

伊野尾先生「何か、嫌なことあったの？」

涼介「……ない」

そして、もう１度。

有岡先生「嘘つき。わかるんだよ」

涼介「なんで？」

有岡先生「いつもの涼介は、もっと優しいだろ」

伊野尾先生「それに、反抗もしないよな」

確かに、俺は何かあると乱暴になるし、反抗もしてしまうようになる。

ごもっともなことを言われて、俺は黙ってしまう。

有岡先生「あのさ、何かあったんだろ？何があったのかは言わなくてもいいから、それだけは教えてくれない？」

涼介「……あった」

伊野尾先生「まあ、だろうな。あのさ、侑李になら、言えるの？」

涼介「わかんない」

これは、本当のことだった。

侑李にだって、怯えてしまうかもしれない。
もしかしたら、有岡先生みたいに傷つけてしまうかもしれない。

伊野尾先生「そっか。涼介、今さ、１人になりたい気分？」

涼介「……うん」

有岡先生「そっか。じゃあ、俺たちもう行くわ。入院する人が来るまで、そこにいろよ。たぶん来ないとは思うけど。あと、誰も入らないように言っとくから。落ち着いたときと、体調悪くなったときはナースコールな」

伊野尾先生「じゃーな」

先生たちは部屋を出ていった。

今まで入っていた変な力が抜けていった。

やっと独りになれた。

ベッドの背もたれに、体重をかけた。

外の景色を窓をとおして見る。

今の俺には合わない、きれいな青空が広がっていて、少しムカついてしまう。

腹が立ったから、天井を見た。

母さん。母さんは今、生きてるの？

全部、母さんのせいだよ。

どこで何をしているかもわからない母親に、怒りをぶつける。

自分がこんなにも苦しんでいるのに、助けてくれない母親なんて。

涼介「母親、失格だよ」

もし、死んでいたら聞こえるように、声に出して言ってやった。

走ったから疲れたな。

俺は、ふぅ、と息をついて、目を閉じた。

だんだん意識が遠のいて、眠ってしまった。