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十一 ページ12

ここで過ごすようになってから一月程

今日は非番の日

特にすることもないので朝飯の後は刀を手入れして

昼間は道場で素振りをしていた

『今日はこのくらいでいいか…』

そう呟き手ぬぐいで顔を拭う

『困ったなぁ…』

本当にどうしよう

俺には少し、

いや大分困っていることがあった

木刀をしまい道場から出ると

昼くらいから町に出かけていた原田、永倉、藤堂が帰ってきた

とことん運が悪いな、俺

「おっ、A!お前に土産買ってきたぞ。」

原田がそう言って手に持っている小包を少し持ち上げる

『…わざわざ俺に?』

「あぁ、饅頭にしたんだが平気か?」

『…………』

なんで俺にそんなことすんだよ

「A?嫌いなら別にいいんだぞ?」

『なんで俺に構うんだよ。』

「は?」

『俺、お前らと関わりたくないっつったよな?なんで一々俺に構うんだよ。』

少し怒鳴ったように言えば藤堂は困ったようにいう

「なんでって言われてもなぁ…俺らがお前と仲良くなりたいだけだし。」

それがわからない

なんで俺に構うんだよ…

「それにさ、お前。ほっといたら…死んじまいそうな気がしてよ…」

『っ!!』

なんつった…?

永倉が頷きながら言う

「Aちゃんがなんか抱え込んでんのは知ってる。けどな、ほっとけねぇんだよ。それが少しでも楽にできるんなら楽にしてやりたいんだ。」

意味が、わからない

お前らには関係ないだろ

それに、なんで、突っ込んでくるんだよ

「俺らになんか出来ることがあるならしてやりたいんだよ。」

『俺に構うなよ…!踏み込むな!!』

気づいたら完全に怒鳴っていた

駄目だ

これ以上ここにいちゃいけない

これ以上聞いていたら

胸が痛い

辛い

苦しい

そう思うと駆け出していた

後ろから声が聞こえたけど振り返りはしなかった

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作者名:tear | 作成日時:2017年8月27日 21時

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