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Case.2報告書 ページ7

A、出勤2日目。
昼からの当直であるため、初めて厚生省公安局刑事課第一係のオフィスに出勤した。

警備ドローンが通り過ぎ、オフィの入り口へと辿り着く。
中に入り、まずAが思ったのはこうだ。

(思ったより所属メンバーが多い…)

昨日会った四名の執行官と桃瀬だけでなく、さらに三名の人物がいた。
そのうちの中性的な人物が、穏やかな笑顔を浮かべこちらに来る。事前に送られていた先輩監視官の写真2つを思い出し、Aは敬礼をして自ら名乗りを上げた。

「昨日から配属になりました、真衣Aです」
「ようこそ真衣監視官。私は宗機 緑(すうき みどり)、貴方と同じ監視官です」

そんな畏まらないで大丈夫ですよ、と緑は微笑む。
ふんわりと香るのは甘いお菓子の香り。
甘党、かつ対峙した人間が安心感を持てるようなほどにしか香りがなく柔らかい笑顔。
カジュアルオフィスの服装と身振りでお淑やかさが強調され、肩幅や体の作りが錯覚を起こしかけるように仕組まれた様相。

(…この人、諸々近い人だ)

シビュラシステムで恋愛・結婚の判定でも行えば、恐らく高い判定が出るであろう予想ができた。

「ふふ、なんだか似ていますね私たち」
「…そうかもしれませんね」
「おいおい宗機先生、口説いてるのか?」

よぉ新入り監視官殿。緑の隣に立った黒綺は上機嫌に手を振る。お辞儀で返せば堅い奴めと笑って自身のデスクに戻って行った。

そして彼と入れ替わるよう桃瀬が眉間に皺を寄せAの前に立つ。
まるで圧をかけるような目。昨日のことを詰問されるのだと理解は容易だ。

「真衣監視官。出勤早々だが、報告書作成のために幾つか質問を受けてもらう」
「…桃瀬、圧出てる」
「自分は大丈夫です。桃瀬監視官、すぐ始めてもらって構いません」

相変わらず無表情で頷くAに、奥に座る執行官の1人は仮面みたいな顔と呟いていた。

「Aさんのデスクはここ。掃除はしたけど半年間使われてなかった機材ですので、もしも故障していた際は言ってくださいね」
「ありがとうございます、宗機監視官」
「…名前で呼んでもいいのですよ?」
「では緑監視官、ありがとうございます」
「ふふ。いーえ、それでは桃瀬のところに」
「はい」

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作者名:あんべべ | 作成日時:2023年1月16日 4時

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