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『ドミネーター』
公安刑事が使用する犯罪犯、潜在犯を裁く装置。犯罪係数が二桁台、オーバー100、オーバー300と対象者の係数によってシビュラシステムが処理をして効果が変わる。
「対象は犯罪係数200オーバー。現在このビル4階で10代女性を拉致して籠城。飛行ドローンが監視しているが、拉致女性のストレス係数も上昇中。即座執行を要する」
「結構ヤバい状態だねー。…早く助けないと」
「ああ」
桃瀬の速やかな指示で人員が割り振られ、Aは黒綺と海軍服の男と組むことになった。
「よろしくお願いします」
Aは頭を下げる。
「…よろしく」
「頼むゾ新人。では行こう」
ロングコートを翻し、黒綺は雨の中を歩き出して行った。
通常、執行官は監視官の指示のもと動くのだが…どうやら黒綺は違うらしい。
同じく海軍服の男、もとい
「自分も向かいます」
桃瀬に告げてAも走り出す。
そのまま二人を追いかけ、共に4階の出入り口を封鎖するために非常階段を登った。
「なぁ、執行官にお辞儀だってさ」
「いつかの誰かさんみたいやなぁ?」
Aがいなくなった途端に金髪の男『捏島孝行』は表情が現れ、口角を上げ桃瀬を見る。隣に立つ
「いやそうとは……限らないだろう。俺たちも行くぞ」
「…はいよ。桃瀬監視官様」
「新人が黒綺に振り回されたら大変だしなぁ〜」
ドミネーターを持った3人はビルの正面から入っていった。
「あの、黒綺さんは一体何を?」
「さぁね」
一方、非常階段で4階まで辿り着いたAは目の前の光景に疑問を抱いていた。
4階という中途半端な階ということもあり、出入り口は内外の階段2つのみ。エレベーターは既に一係が電気系統全てをジャックされているため、入り口で控えていれば良いはずと考えていたのだが…。
黒綺は現在、手にグローブをつけペタペタとビルの外観を経由し、部屋の窓の前まで向かおうとしていた。
シビュラシステムによって音声通話が可能であるため黒綺に尋ねてみれば、彼はクククと低い声を鳴らし説明を始める。
『いいか新人、犯行を犯してストレス係数が急激に上がった奴がドアから逃げ出すと思うか?』
「…」
腕につけたデバイスからフロアの見取り図を見る。
部屋のドアは一つ。道路に面した側に窓があるくらいで変なことは1つも…。
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作者名:あんべべ | 作成日時:2023年1月16日 4時