恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅵ【男主】 (ページ9)

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担任による混合実技の授業が始まって、俺はとりあえずといった体で眺めている。
ペアで防御用のシールドの強度を高める練習を今日は行うようだ。

『なーにしれっとアインスに来てるのお母さん』

ルナの飛躍的成長とクラス移動で影が薄くなっているが、実はアンも一緒に全ての授業を『1』に上げていた。

(あれか?学院長からの推薦で入って階級も同じ平民だとしても風と光では後者の方が良いってか?)

突如として入った礼儀正しい転校生リーリエ・アンの急成長の方が何倍も文章書けるだろう。

An『まァ!久しぶりニそれデ呼ンで下さイましたネ!ところデご主人サマ、前ニ言っテた"前兆"ガ来てイルようデスね』

お怒リ!黒いモヤ!私でなけレば不安にナルようナ闇属性もどきのオーラ！と楽しそうに返してくるアン。
なるほど、"もどき"のオーラとな。

『それってルナにも見えてそう?』
An『あハイ、それはもうバッッッチリ。なんなら今から向かイそうデスよ』
『は?』

急いでルナを探せば此方に意を決したかのように歩いているではないか。ゲームシナリオではもう少し授業の時間が経ってからだろうに。また巻きが起きている。

アンに何故と尋ねれば、どうやら光属性のルナの目からは2つの光(恐らく俺の瞳)を持つ黒く悍ましい化け物に見えている…らしい。

そんなにモヤを纏っているのかと聞けば、

An『イエ黒いカーテン越しに見ルご主人サマな程度です』
『それだいぶ纏ってるって事やないかい』

ナイスツッコミとか言ってるアン。
俺は苦笑いをしながらも、授業補佐で来てくれていたレウに連絡を入れた。

『至急クラシアさんの方来て』
re『了解…っていつのまに⁉︎』

レウが監督をしているような素振りで此方に来ようとしてくれている。アンはペアの子がいるから遠目で見ている、とのことだ。

さて。ゲームシナリオと同じならそろそろ…

lu「皆を守らないと…」

呟きと同時に彼女は手のひらを此方に向ける。
そして、俺の足元に魔法陣を生み出してきた。

「はぁ、だる」

ほんとイライラが止まらない。

「黒羽」

六宝戦にて生み出した移動手段"黒羽"。
魔法が発動される前に空へと飛び立ちレウの側へと降り立った。