白尾さん達の恋模様4【BL】 (ページ9)

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短冊に願い事を kr⇔sh ページ9

きりやんside

「きりやんきりやん！短冊貰った！」

いつになく高いテンションで、彼は俺を呼んだ。
その手には、緑色と黄色の短冊が握られていて。
恐らく、願い事でも書きたいんだろうなぁ...なんて考える。

「短冊かぁ...書く？」
「書く、きりやんも書こ！」
「はいはい...。」

短冊と向き合いながらどんな願い事を書くか考えている彼は、いつもより子供っぽい。
鼻歌なんて歌いながらペンを進める彼を見ると、なんだか少し幸せな気分になって。
ふと思いついた願い事を、短冊に書いた。

「シャークん、書き終わった？」

ペンを進める手を止めた彼にそう聞けば、上機嫌に頷いた。

「なんて書いたの？」
「......秘密。」

あんまりにも楽しそうに書いていたものだから、何を書いていたのか気になった。
彼は少し、恥ずかしい事でも書いたんだろうか。
耳をほんのり紅く染めながら、そっぽを向いた。
そんな表情が愛おしくて、彼の綺麗な黒髪をそっと撫でた。
撫でてやると、彼は嬉しそうに目を細めてへにゃりと笑う。
...ゲームの時なんかはサイコ発症する癖に、こういう時だけこんな顔すんだよなぁ...。
でもまぁ、その表情を見れるのが俺だけだと思うと、やはり気分は良いもので。
彼の唇にそっと、触れるだけのキスを落とした。

「さて、短冊どこに飾ろっか。」
「え、あ～...あそことかでいいんじゃね？」
「じゃあそうしよっか。」

唇を離して、何も無かったように振る舞えば、彼は少しだけシュンとして。
もしかして、続きでも期待したんだろうか。
大丈夫、後でいっぱい構ったげるよ。
なんて、心の中で彼に言った。
...まぁ、聞こえる訳はないんだけど。

短冊を飾ろうとベランダに出た。
夜空はそれはそれは綺麗で。
たくさんの星達が、郡を為して夜空で煌めいていた。

「綺麗だね。」
「うん。」

隣にいる彼の手を取って、少しの間、空を見つめた。

「あのさ...きりやん。」
「ん？」
「願い事...俺さ、きりやんと、ずっと一緒にいられますように、って書いた。」
「...俺も、シャークんとずっと一緒にいられますように、って書いたよ。」
「...そっか。」

彼の口から零れた願い事。
それは、俺が願っていた物と全く同じで。
「2人同じ願い事なら、きっと叶うね」なんて彼に微笑めば、満面の笑みが帰ってきた。

＿こんな日が、ずっとずっと、続きますように。