白尾さん達の恋模様4【BL】 (ページ19)

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忘愛症候群 kr⇔br ページ19

きりやんside

※奇病パロ

「僕ね、忘れちゃうんだって。きりやんの事。」

ある日、彼から告げられたその言葉。
真っ赤な目元を誤魔化すように、無理矢理笑顔を浮かべて、彼は言った。
その声は震えていて、無理をしているのなんて丸わかりで。
意味の分からない告白に困惑するよりも先に、彼を抱きしめた。

「忘れたく、ないよ...だって、ずっと、好きで...。なの、に...そんなの...やだぁっ...。」

俺の腕の中で、彼は涙を流した。
嫌だ、と。
忘れたくない、と繰り返しながら、ひたすら涙を流し続けた。
忘れられるのだってもちろん嫌だけど、それよりもまずは、目の前の彼が泣いている事が辛かった。

「...忘れるって、どういう事なの？」
「...忘愛症候群っていう、病気なんだって。
好きな人の事...忘れちゃうんだって。
僕、きりやんの事、忘れちゃうんだよ...。」

漸く落ち着いたbroooockに、出来るだけ優しく聞けば、彼はそう答えた。
broooock曰く、忘愛症候群は好きな人の事を忘れてしまう、非常に珍しい病気だそうだ。
発症理由も分かっておらず、分かっているのは、症状と治療法だけだそうだ。
けれどbroooockは、頑なに治療法を述べようとしなかった。
...治療法があるなら、言ってくれたって良いじゃないか。

「とにかく、毎日会いに行くよ。1人にしたくない。忘れられててもいいから、離れたくない。」

俺がそう言えば、彼は何も言わずに、いつもよりも弱々しい笑顔を見せた。