白尾さん達の恋模様4【BL】 (ページ12)

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夢 br⇔sh ページ12

broooockside

嫌な、夢を見た。
彼が、僕から離れる夢。
いつものように、熱を帯びた瞳で、僕を見なくなった夢。
いつもみたいに、優しく僕の名前を呼んでくれなくなった夢。
いつもみたいに、手を握り返してくれずに、振り払われる夢。
...彼が、僕じゃない、他の誰かを好きになる夢。
あまりに現実的すぎる夢。
...夢じゃなかったら、僕はどうなるんだろう。
＿＿＿＿
＿＿
＿

「っ...！」

最悪な目覚めだ。
あんな夢を見るなんて。
彼が、僕から離れるなんて、そんなの。
寝ぼけていた思考が覚めると、1つの違和感に気づいた。
彼が、僕の隣に居ない。
いつもならいる筈の彼が、ここに居ない。
僕の隣は、既に冷たくなっていて。
大分前に彼がいなくなった事が分かった。

嫌な予感。というより、不安？
あんな夢を見たせいで、嫌な考えが頭をよぎる。
...大丈夫、だって昨日まで、あの口から、好きと言ってくれてたんだから。
だから、きっと、大丈夫。
自分に言い聞かせるようにそう呟いて、不安な気持ちのまま、ベッドを降りる。
綺麗に畳まれた、昨夜脱ぎ捨てた筈の服を着た。
...きっと、彼が畳んでくれたんだろうな。
なんだかその事自体も、彼が離れている事を裏付けているような気がして。
また浮かんでくる嫌な考えを無くそうと、頭を振った。

寝室を出て、リビングに向かう。
玄関に続くドアの方に、小さなバッグを持った彼が見えた。

「シャークん！」

思わず彼を呼び止めて、後ろから抱きしめた。
...ほんとに、いなくなるの？
嫌だ、嫌だよ。
僕から、離れないで。

「broooock？！びっくりするだろ...！」
「ねぇ、どこ行くの...？いなくならないでよ...。」
「...broooock？」

いつもみたいに、彼は顔を赤くしながら僕を見た。
その瞳が、夢と同じように、冷たく僕を見ていたらと思うと、彼の目を見れなかった。
変わりに僕から出たのは、いつもよりも弱々しい声で。
その声に疑問を抱いたであろうシャークんが、僕の顔を心配そうに覗き込んだ。

「俺は、いなくならないぞ？」
「ほんとに？」
「うん。

＿だって今、俺はここにいるだろ？」

いつも通りの笑顔で、彼は言った。
いつも通りの、眩しくて、可愛らしい笑顔で笑った。
’’いなくならない’’と、言ってくれた。
...うん、そうだね。
ここに、君はいるもんね。