白尾さん達の恋模様【BL】 (ページ17)

今日:17 hit、昨日:21 hit、合計:229,068 hit

▽ ページ17

＿去年の、体育祭覚えてる？
最後の競技のさ、リレー。
シャークんリレーのアンカーでさ、幸先良く走り出したのに、転んじゃって。
最下位になってたのに、どんどん抜かしていって、結果は2位だったよね？
転んでも、諦めなくて、汗と砂まみれになりながら、それでも、楽しそうに走るもんだから、目が離せなかったんだ。
...僕は、その時、シャークんに恋に落ちたんだ。

＿やめて...やめてよ。
俺だって、覚えてるんだ。
俺だって、そのシャークんを見て、好きになったんだ。
なんでよ。
シャークんの気持ちを手に入れたなら、それで満足してよ。
...この思い出まで、俺から奪わないで...。
溢れ出た涙を拭って、もう一度、教室の扉に手を掛けた。

ｶﾞﾗﾘ＿

扉を開けて、教室に入れば、心底幸せそうに笑みを浮かべている2人。

ぶる「あ、きりやん。あのね、」
きり「あ、聞いてたから説明要らないよw
...おめでとう。」

今の俺の、精一杯の笑顔。
顔、引きつってないといいな。
...どうか、気づかないでいて。
目元が赤いのは、窓から差し込む夕日のせいだと思ってくれ。
声が震えているのは、風が冷たいからだと理解してくれ。
俺のこの気持ちに、どうか気づかないで...。
ズキズキと痛み続けるこの胸が、また痛くなってしまうから。

その日、伝える前に終わったこの恋の痛みに、俺はずっと涙を流した。