6つ目 side白雪 ページ8
「ねぇ、貴方は本当に名前が無いの…?」
「…すみません。本当にないんです。呼ばれる時がほとんどなかったので元々の自分の名前も忘れてしまいました」
その子は申し訳なさそうに頭を下げる。
「いや全然大丈夫だよ。謝らないで。…それじゃあさ、私が貴方の名前をつけてもいいかな?」
自己満足だとは分かっていても目の前にいるこの子を見ているとどうしてもそうしたいという思いが溢れて止まらなかった。
「え…」
「そりゃいいね!ずっと名前が無いままだと不便な事も出てきそうだし」
その子は驚いたのか頭をパッと上げる。オビも賛成みたいなのだが、肝心のこの子はいいと言ってくれるだろうか。
「駄目かな…?」
「いいえ!とんでもございません。お願いします…」
そう言うとその子は真剣な眼差しでこちらを見つめる。
「…それじゃあAっていう名前はどうかな?」
「A…」
「少し考えてたんだけどね、頭に浮かんできた名前がそれだったの」
どうかな…?と少女に声をかける。
「A…すごく素敵だと思います。本当に私がこの名を貰ってもいいんですか?」
そう言ってじっと見つめるその子。いや、今はAか。
「もちろん!貴方の為につけた名前だから」
「ありがとう…ございます」
少し照れくさそうに頬を染めるA。
「A。いい名前だね」
オビも笑顔でそう言ってくれた。
「A、これからよろしくね!」
「よ、よろしくお願いします」
私はそう言って手を差し出す。Aもそれに従うように両手で私の手を包み込んだ。
手から伝わるAがとても暖かく心地よかった。
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こんにちは、こんばんは、おはようございます。作者のあすです。
やっとこさオリジナルの話が終わりました。
次からやっと原作沿いになります。
始まりはユリカナの街へと出発するお話から始まります。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時