5つ目 side白雪 ページ7
ふぅとため息をつく目の前の子を見て思わず見とれてしまう。
確かにミツヒデさんの言う通りオビがここにこの子を連れて帰ってきた時はとても驚いた。
オビもそんな事をするのかと思ったし、何より連れて帰ってきた子がとても綺麗から。
それでもその子は弱った状態で急いで薬室に運んで治療をした。
その体には痣が合ってとても痩せ細っていたからもしかしたらと思ったがまさか本当にそんな事になっているなんて。こんな事をする人がこの世の中にいるなんて思いたくなかった。
ぐっと拳を握り怒りを冷ます。
「あ、あの…」
鈴が鳴るようなその声で私達に声を掛ける少女。
「ん、どうしたの？」
「ゼンさんはいつもあんな感じなんですか？」
「あぁ、主の事。驚きだよね。俺も最初は驚いたよ」
オビがさっきまでゼンが使っていた椅子に腰をかけて返事をする。
「優しい方なんですね…」
3人が出ていったドアを眺めながらポツリと呟く。
「ゼンはね、困った人がいたらほおっておけないんだ。だから貴方も助けたかったんだと思う」
私も椅子に座り、そう答えた。少女はこちらを振り向く。動く度にキラキラ光る金髪がとても綺麗だった。
「白雪さんもこの国のお姫様なんですか？」
「へ？」
「護衛をつけるという事はそれほどの身分の高さだと思っています。白雪さんはとても綺麗ですし、お姫様なのかと思ったんですが…」
お姫様…初めてそんな事を言われた。思わず顔が赤くなる。
「お嬢さんはね、お姫様ではないけどこの容姿のせいで変な輩に狙われやすいんだ。だからこうして俺がいつもお嬢さんの近くにいるんだよ」
「なるほど…」
真剣な顔でオビの話を聞くその子。顔の赤みが少し引いた所で私も気になっている事を質問をした。
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作者名：あす | 作成日時：2018年12月1日 17時
