43個目 side少女 ページ45
向こう側に渡りまだ気配がそこにある事を確認する。私よりも先に角を曲がり、気配と接触するオビさん。私も少し遅れて角を曲がると、もうオビさんは何かを掴んでいた。私はほっとしてオビさんに近付こうとする。
「A嬢!まだもうひとりいる!追いかけろ!」
「えっ」
前を見ると確かに影が向こうに走っていくのが見えた。私は慌てて走りだす。向こうは足が遅いのかすぐに追いつき行く道に通せんぼした。走ったままの勢いで、私のお腹辺りに突っ込んできたので、私はすかさず抱きしめる。
「子供…?」
私達を追いかけていたのはなんとまだ十歳ぐらいの女の子だった。
「ちょっと!離しなさいっ!」
私の腕の中でじたばたと暴れるその子。こんな状態でもこんなに暴れるとは思わなくてちょっと驚いた。
「こっちは男の子っぽいね」
オビさんがこちらに寄ってきて私が捕まえているのを確認するとそう言った。
確かにオビさんの脇に抱えている子は男の子だった。しかも私が抱きしめている子より大人しい。というか、少し泣いていた。
「そっちの子のが大変でしょ?はい、交換こ」
オビさんは男の子を床に下ろすと今度は私が捕まえていた女の子を脇に抱えた。そんな事になってもその子はずっと暴れているのに、男の子は大人しいままだった。
「あの…とりあえずラジ王子の所に行くので手だけ掴んで貰えますか?」
私はしゃがんで男の子の目線より下に下がって言った。顔を上げこちらを見る男の子。あれ、この子誰かに似てる気がする。そんな事を思っていると男の子が私の方に手を差し出してきた。
「ありがとうございます」
私はその手を掴みオビさんと白雪さん達の元に急いだ。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時