32個目 side白雪 ページ34
「クラリネスとタンバルンはークラリネスの漁船に
タンバルンの質のいい木を多く使っている事もその
ひとつだが、それぞれの国で発達してきた土地や技
術知識を互いに有益おして付き合いが続いている」
今、私は馬車に揺られながらハルカ侯爵の話を聞いていた。途中で乗らされたオビもAもいる。
でも、Aはいいとしてオビはハルカ侯爵の話を右から左へ受け流していた。これハルカ侯爵に怒られないかな。
「とは言え、互いの城の事情など干渉し合ってはいない。つまり私もそこまでは教えられん。タンバルンで何をするか、何をしないかは自分の目で見て決める事だな」
「はい」
「お前も聞け!」
「はっ!」
オビが聞いていないのをハルカ侯爵も気づいたようで案の定とても怖い顔でオビに注意した。
この旅路、本当に大丈夫なのかな…
そんな心配とは裏腹に旅路は順調に進んで行った。そしてついに、クラリネスとタンバルンとの国境に着く。ここでハルカ侯爵ともお別れになってしまう。
「ありがとうございました。ハルカ侯爵。ウィスタルまでお気をつけて」
私が挨拶をしている中、Aとオビはピシッと背筋を伸ばして立っていた。
「……君も 招待を受けイザナ殿下のご命令があった以上無様な思いをして帰って来るだけにならぬようにしろ」
そう言うと、ハルカ侯爵は行ってしまった。
「堅物」
オビはハルカ侯爵が乗っている馬車を見送りながら言った。でも、その声は今ハルカ侯爵が言った言葉に不満を持っている訳ではなくむしろ清々しい気持ちが入っているように聞こえた。
…ついにタンバルンに入るのか。
私は覚悟を決め深呼吸をする。
「入ろう、タンバルンに」
私は馬車、2人は馬に乗り門を潜り抜けた。
ここまでは何事もなくとても平和だった。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時