29個目 sideなし ページ31
「はーあっと」
クラリネス王国、ウィスタル城の星影の門でオビは深いため息をついた。
「移動は身軽でが信条だってのに、こんな着替え持たされるとは…」
「オビは今回は乗って行くの？」
「いや俺は馬でついてくよ」
「やっぱりそうか…Aは？今回も馬車に乗る？」
「いえ、今回は私も馬で行かせていただきます」
「そうなの？…でも、一緒にタンバルンに行くのがオビだって昨夜まで知らなかったよ。それにAの事だって。ゼンがイザナ王子に付き人は1人だって言ってたのに」
「あーそう？まぁよろしくねお嬢さん」
「すみません、何も言わずに。私も、よろしくお願いします白雪さん」
「こちらこそよろしく。一緒に行ってくれてありがとう」
ここまで言われるとは思っていなかったのかオビは少し視線をずらす。そして少し考えると白雪に目線を合わした。
「いやまあ………お嬢さんさ」
「ん？」
「それ 俺にどう決まったかは聞いたのかい？」
「どうって？」
オビの質問に問いかけるように聞く白雪だったが、オビはその答えを聞くと手のひらを返したように荷物を持って立ち上がった。
「主が話してないなら内緒！」
「じ 自分でふっておいて…」
「ははは。1番あんたについてたいと思ってるのは主だって教えとくよ。俺も荷物乗せてくるね」
そういうとオビはAの分の荷物も一緒に持っていこうとした。
「オビさん、それ私のですから置いておいて貰っても大丈夫ですよ？自分で持っていきます」
「いやいいよ、A嬢はお嬢さんと一緒に居てあげて」
オビはそう言うと二人分の荷物を持って行ってしまった。
Aは申し訳なさそうに白雪の隣に立つ。
その時、カツンと音がして誰かがこちらに来た。白雪とAは音のした方へと振り返る。そして、音を出した人物が誰か分かると白雪は驚いたように目を見開いた。
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作者名：あす | 作成日時：2018年12月1日 17時
