25個目 sideなし ページ27
船乗りに話を聞いているオビの後ろ姿を見つめるAに巳早はいきなり肩を抱いた。
「なぁ、お前せっかくお綺麗な顔してんのになんでこんなん付けてんだよ」
「さぁ、なんででしょうね。少なくともあなたに触られるためではないです」
Aはそう言いながら巳早の腕をペシンと叩く。
「釣れないねぇ。フードとった方が可愛いっつってるだけだろ?」
巳早はAのフードに手をかけた。その手を払い除けようとしたAより早くオビがその手を捻る。
「いでででで!!」
「悪いけど、A嬢にちょっかい出さないで貰えるかい?」
「わかった!わかったから離せって!!」
巳早の言葉を聞き、パッと腕を離すオビ。
「次の船に行くよ。A嬢、着いてきて」
「は、はい」
フードをまた深く被り直したAはすぐにオビを追いかけようとしたが、くるりと振り向き巳早に声をかける。
「早くしてくださいね。でないと置いていきますから」
言い終わると同時にAはくるりと前を向きオビを追った。Aが巳早から助けてくれたオビに少し胸を高鳴らせているのもオビが巳早に触れられているAを見てイラッとしたのも、本人すら全く気がついていなかった。
「なんなんだよ。一体…」
訳が分からないまま巳早は1人でポツリと呟いた。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時