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23個目 sideなし ページ25

コツコツと音を立てて廊下を進んでいくオビとA。今、2人は白雪が舞踏の練習をしている部屋に向かっていた。Aが手に持ったオビから貰ったケープのしわを伸ばしながら聞いた。

「今回の情報探しって巳早さんがいなきゃ駄目なんでしょうか…」

「まぁしょうがないよね、相手の顔を知ってるのは巳早ただ1人。こればっかりは文句を言ったって変えようがないからねぇ」

珍しく不満を零すAにそれを執り成すオビ。Aは白雪を連れ去ったという巳早に少しばかり苦手意識を持っていたのだった。

だんだんと聞こえてくる規則正しいヒールの音。オビとAは開け放たれたドアから一声掛けて入る。

「失礼」

「失礼します」

「!オビ!!A!!」

入った途端白雪に呼ばれる2人。白雪の姿を見てオビはぎょっとした。

「白雪さん、ドレス姿も素敵ですね」

「本当?ありがとう!」

そう、白雪はドレスを着ていた。その為オビは一瞬白雪を誰かと見間違えたのだ。

「なんだ、びっくりした。本人か」

「ってそうじゃないの!いい所に…!オビ、練習相手になれない!?」

「はい?」

コツコツとヒールの音を立て2人の元へ近づく白雪。白雪の言った言葉に思わず聞き返すオビだったがその理由を聞くまでもなく部屋から第三者の声が聞こえた。

「だ…大丈夫ですよ、白雪どの…はじめは誰でも…難しいものです…」

「…あの人は?舞踏の先生?」

「…私が足を何回も踏んで…申し訳なくて…」

足を押さえながらそう言う先生だが、その姿から見ても痛みと戦ってるのは明白だった。

「そりゃ勿体ないお誘いだけど俺これから巳早どののお守りだからさ」

「え?」

そこまで聞いた白雪は声を潜めて確認をする。

「ゼンの意向で?」

「そだよ」

「そっか…私も巳早にはもう1回会って港の方に情報探しに行きたいんだけど…」

そんな頼もしい言葉が白雪から出る。オビは困ったように頭を掻いた。

「たくましいねえ…主もお嬢さんも。あんたはこっちのタンバルンの件で手一杯でしょうが」

「うっ…」

痛いところをつかれ、白雪は言葉に詰まる。

「今は美少年の件は俺とAと主にあずけときな」

「オビ…」

「じゃ頑張ってね」

「白雪さん、頑張ってください。行ってきます」

ぺこりと頭を下げたAは鼻歌を歌ってるオビを小走りに追いかけて行った。

2人に応援された白雪は暫くドレスを見つめて

「うん」

と覚悟を決めたようだった。

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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時

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