MISSING TWINs Ⅲ (ページ33)

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Epilogue ページ33

ふわふわ、ふわふわ。

薄く光を感じる暗闇で、未だに浮遊している感覚が徐々に鮮明になっていった。
少しずつ重みが加わってきて、どこもかしこも重痛い。
右手だけが、異様な程に重く感じる。
しばらく感じなかった肉体の重さだろうかとアタリをつけながら、現実を確認しようと瞼を持ち上げる。
瞼だけなのに、重くて仕方ない。
眠気に負けた時のような、泣き晴らした目を無理に開く時のような感覚に、少なからず体に入っている事だけは確実だった。
もしかして目覚める事は出来ないのだろうかと不安が募る中、暗闇がほんの少しだけ裂けた事に力が抜けそうになる。
頑張れ！気合いがあれば何でも出来る！なんて、他人事のように己を奮い起たせた。

「、った…」

目を開いて辺りを見回そうとしただけ。
それだけで走った激痛に思わず声をあげた。
痛い。痛すぎる。
こんなことなら大人しく逝っておけば…と歯噛みする。

「ん…」

重い右手に何かが触れる。
それはこしょこしょと素肌を滑り、擽ったさに身悶えたなら、次は激痛でもんどりを打とうとして玉砕した。

もうやだ。
この体やだ。

涙目になって身動きを取れずにいた私。
擽ってきた物が何なのかの確認も取れない。
でも、ここがお兄ちゃんが守ってくれた世界だと思うと、微動だに出来ない体でも愛おしく感じる不思議。
あの不可思議な出来事は私が見ていただけの夢なのかもしれない。
昔読んだ小説に近しいものがあったなぁとぼんやり思う。

「…ん……………芹！？」

「うぐっ！…ぁﾞ、いﾞだ…っ」

聞き慣れた声の主が飛び起きた事でベッドが揺れる。

→私の体はベッドの上。

→もちろん全身その振動を受け取る。

→激痛←

強制的にその人が握っていたらしい私の右手が１番激しく動いた。
痛みの襲来に私は声だけで悶えるはめになった。

「あﾞあﾞぁﾞゔゔ…」

「あ、ご、ごめん！い、今先生呼ぶから！」

痛い。痛い。痛すぎて涙も溢れる。
だって女の子だもん。
なんてくだらない事を考えてやり過ごそうと目論むが、どんなに意識を外側に持っていこうとしても返り討ちに遭う。
ナースコールで駆けつけて来た医師と看護師。
その看護師に見覚えしかない。

「あー…男好きの…」

「え！？」

大我くんにこなかけてあの私に殺されかけた人だ。
思わず洩れた単語に看護師は焦って首を横に振る。が、医師の視線は呆れていた。