MISSING TWINs Ⅲ (ページ31)

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「大我くん、いつまで泣いてるの」

「だって…」

「だってじゃなくて、男の子でしょ？」

「だって、“生きてる”…」

収まり始めた涙を堪えながら、大我くんが私の頬を両手で挟んで存在を確かめる。

「いつもみたいにあったかい…でも、話してる」

「声出せるんだから話すに決まってるでしょー」

「“芹”が、“生きてる”…」

瞳を細めて、心の底から幸せを噛み締めるような微笑みがすぐ目の前で象られていく。
何もかも吹っ切れたような、暗い陰１つ無い清々しい笑い顔。
それを目にして、やっとお兄ちゃん達の旅の終わりを確信した。

「大我くん」

「うん？」

「大我くんだけの私はずっと待ってると思うよ。だから、“かえろう”。私も自分の本当の場所に帰るから、大我くんも“還ろう”」

「…っ、うん…」

私の言葉を耳にした大我くんは、やっと落ち着いた涙を再び溢れさせた。
それでも、その涙は今まで見たものとは全く違って見えた。
キラキラと、私の世界の大我くんのようにとても魅力溢れる笑顔を飾ったそれを、親指でそっと拭う。

耳の奥から“もう１人”の大我の声が響いた。

ーありがとう、芹ー

ーこちらこそ、ありがとう。とっても楽しかったよー。私もお兄ちゃん欲しくなっちゃったー

ーばーか。俺がお前の兄ちゃんだよー

ーうんー

ー…そろそろかな…ー

ーバイバイ？ー

ーあぁ、バイバイだ。お前が死んだら迷わないように迎えに行ってやるよー

ーふふっ、いらないよ。それよりも、生まれ変わってみんな幸せになってー

ーあぁー

優しいお兄ちゃんの声を聞きながら、ゆっくりゆっくり感覚が消えていく。
この体を離れるのだと思った。
それなら、最期に伝えなくちゃいけない事がある。
これで完全に終われるだろう。
そっと大我くんと額を合わせて、濡れた瞳を見つめて、濡れた金髪を撫でつけた。

「助けてくれてありがとう。私、生きてるよ」